You’ve Got Mail

作品紹介 

1998年の映画「ユー・ガット・メール」は、ニューヨーク州のマンハッタン、セントラルパークの西に位置するアッパーウエストサイドが舞台のロマンチック・コメディ。 

キャスリーンは「THE SHOP AROUND THE CORNER(角のお店)」という子供向けの小さな書店を営んでいます。しかし近くにディスカウントの大型書店が開店することになり、店への影響が心配に。 

その大型書店を経営するジョーとキャスリーンがチャットルームで出会い、それぞれ「shopgirl」と「NY152」というハンドルネームでお互いの素性を明かさないままメール交換するようになります。

 

今と違ってスマホもなく、インターネットもそれほど普及していない時代。

メールを送ったり受信を確認するのにも、毎回ダイヤル回線に接続しなければなりません。

当時を知っている世代には接続中のパソコンの音が懐かしく、スマホ世代の若い人には新鮮で、ニューヨークの街並みが美しく、ロケ地を訪れる旅に出たくなる作品です。

私はキャスリーンとジョーが待ち合わせした「カフェ・ラロ」に行ってベーグルサンドを食べました。店の前には映画のシーンの写真が貼ってあり、ロケ地に来たっていう感じがしました。ゼイバーズには行かれなかったので、いつか行きたいと思って毎日頑張っています。

監督・キャスト紹介 

監督

ノーラ・エフロン(Nora Epron)
トム・ハンクスとメグ・ライアンの共演する1993年の映画「めぐり逢えたら(Sleepless in Seattle)」の監督もしています。 

キャスト 

ジョー・フォックス(Joe Fox)役: トム・ハンクス(Tom Hanks) 
トム・ハンクスは1994年「フィラデルフィア」と1995年「フォレスト・ガンプ」の2作でアカデミー賞主演男優賞受賞 。
1995年「トイ・ストーリー」ではウッディーの声を務め、2015年にはカーリー・レイ・ジェプセンのミュージックビデオ「I Really Like You」にも出演しています。 

キャスリーン・ケリー(Kathleen Kelly)役:メグ・ライアン(Meg Ryan) 
メグ・ライアンは他に1989年の映画「恋人たちの予感(When Harry Met Sally… )」に出演。

This not knowing has its charms.  この知らない者同士の関係もいい

ジョーがキャスリーンに送ったメール① 

Don’t you love New York in the fall? 

秋のニューヨークって良いよね。

It makes me want to buy school supplies

僕にとっては学用品が買いたくなる季節なんだ。

I would send you a bouquet of newly-sharpened pencils if I knew your name and address. 

もし君の名前と住所を知っていたら、削りたての鉛筆を花束のようにして送るのに。

On the other hand, this not knowing has its charms

とは言っても、この知らない者どうしの関係もまた良いんだ。 

school supplies:学用品
bouquet of newly-sharpened pencils:削りたての鉛筆を花束のように束ねたもの

ジョーは一緒に住んでいる怒りっぽい彼女には、こんなロマンチックなセリフは言いません。

アメリカでは秋に新学期が始まるから、ジョーは秋になると学用品が買いたくなるんですね。

秋のニューヨーク。私が初めてニューヨークに行った時は11月でした。そのころはブルックリン橋もよく分かっていなくて、エンパイアステートビルディングに行ったのと、5番街のデパートに行ったことぐらいしか記憶になく遠い思い出です。

またいつか行きたいと思いながら日本で暮らしています。 

They’re gonna hate us at the beginning, but we get them in the end. 

大型書店のオープン前、最初は反対されても最後はお客さんに選ばれると確信しているジョーのセリフ。 

We’ll seduce them with our square footage and our discounts and our deep armchairs and our… cappucino. 

我々は広い店舗と割引、肘掛け椅子に…カプチーノでお客さんを誘い込む。

They’re gonna hate us at the beginning, but we get them in the end

最初は嫌われても、結局は受け入れられる 

seduce:誘惑する  
square footage: 床面積(不動産用語) 
armchairs: 肘掛け椅子 

昔は本屋さんに椅子が置いてあって、好きなだけ読んで良いようなサービスはありませんでした。しかもコーヒーも飲めるなら半日ぐらい過ごせますね。

We made a rule about that. そういうルールにした

ジョーとのメールにときめくキャスリーン。メールで話している相手がいることを店のスタッフに打ち明けるシーン。 

We don’t talk about anything personal. We made a rule about that.

個人的なことは話さない。そう決めてるの

 I don’t know his name, what he does or exactly where he lives, so it will be really easy for me to stop seeing him, because I’m not. 

彼の名前も仕事も正確な住所も知らない。だから彼と会うのをやめるのは簡単よ。だって会ったことないんだし。

 

会ったことがない人に恋しているキャスリーン。鉛筆のブーケとか言われたらキャスリーンじゃなくてもにやけそうです。 

An absolutely defining sense of self. 

スターバックスに対するジョーのセリフ 

The whole purpose of places like Starbucks… is for people with no decision-making ability… whatsoever to make six desicions just to buy one cup of coffee.

スターバックスみたいな所の目的は… 意思決定の能力がない人たちのためにある… 一杯のコーヒーを買うために何と言っても6つの決断をするのだから。

Short, tall, light, dark… caf, decaf… low-fat, non-fat… et cetra. So peolple who don’t know what the hell they’re doing… or who on earth they are… can, for only 2.95… get not just a cup of coffee… but an absolutely defining sense of self. 
サイズ、濃さ、カフェインの有無、乳脂肪分とか。 自分が一体何をしているのか…誰なのかすらわからない人たちが… たった2ドル95セントで一杯のコーヒーだけでなく…自身を絶対的に定義するためだ。

 

purpose: 目的 
decision-making ability: 決断を下す能力 
whatsoeverは、今述べている考えを強調する語です。通常否定文で用いられます。 
what the hell :一体全体(これも強調の意味です) 
absolutely: 絶対的に、全く 

1998年の映画なので、スタバが流行り出した頃です。私が初めてスターバックスコーヒーに出会ったのはユナイテッド航空の機内でした。その後お茶の水で偶然発見し、すごい勢いで店舗が増えて今ではあるのが普通ですね。コーヒーもいいですが、私はやっぱりキャラメルフラペチーノが一番です。カロリーは高いけど。 

If they don’t have it, we do. And vice versa.

キャスリーンとバーディーの会話です。(近くに大型書店がオープンすることについて )

Kathleen: This is going to be the book district. If they don’t have it, we do. 
キャスリーン:この辺は本屋街になるわ。向こうにないものは、ここにある。 

Birdie: And vice versa. 
バーディー:逆の場合もあるわね 

Kathleen: Absolutely. 
キャスリーン:そりゃそうよ 

vice versa:は「その逆もまた同じこと」という意味。
「absolutely」という単語はワーホリでシドニーに滞在していた時、ansett airlinesのCMでよく流れていました。乗ったことはないけれど、もうなくなってしまったと思うと寂しいです。

 

キャスリーンは大型書店ができることをいいことだと捉えていて前向きです。人生何が起こるかわからないので、私も何事もいい面を見ていけるようにしたいなと思います。  

You are a lone reed. 1本の葦だ

キャスリーンの彼氏フランクが、話したことを新しいタイプライターに打ち込んでキャスリーンに渡すシーン。 

You are a lone reed. You are a lone reed. 

君は一本の葦だ。一本の葦なんだ。

You are a lone… reed… standing… tall… waving boldly… in the corrupt… sands… of commerce. 

君は一本の葦…長く…伸びて… 果敢に揺れて … 腐敗した… 商業の砂に… 立っている。 

 

lone: 一つだけの(aloneと同じ
reed: 葦 
wave: (手などを)振る 
baldly: 大胆に 
corrupt: 腐敗した 
commerce: 商業 

フランクは「ザ・ニューヨーク・オブザーバー」という新聞にコラムを書いているからか詩的な表現をしています。つらい時に自分のことをa lone reedだと思ってがんばりたい!と思っても、すぐに忘れて、でも映画を見るとまた思い出します(笑)。 

Our customers are loyal. うちのお客さんは忠実。

ジョーが親戚の子どもたちを連れてキャスリーンの店を訪れます。キャスリーンの店で働いているジョージにまた来店するか聞かれたジョーが「Of course.」と答えたことに対するジョージのセリフ 

That’s why we won’t go under. Our customers are loyal. 

だからこの店はつぶれない。うちのお客さんは店に忠実なんだ。 

Do you ever feel you’ve become the worst version of yourself? 最低な自分になってしまったことはある?

ジョーのメール② パーティーでキャスリーンと口論になった後… 

Do you ever feel you’ve become the worst version of yourself? 

君は一番嫌な自分になってしまったことってある?

That a pandora’s box of all the secret, hateful parts… your arrogance, your spite, your condescension has sprung open.  

パンドラの箱に入れて秘密にしていた全ての嫌な部分…傲慢さ、悪意、見下した態度が出てしまったこと。

Someone provokes you and instead of smiling and moving on, you zing them? 

誰かが君を怒らせると、笑顔で次に行けずに相手をやり込めてしまうような? 

“Hello, it’s Mr. Nasty.” I’m sure you have no idea I’m talking about. 

「やあ、イヤな奴だよ」ってね。 僕が話していることなんて君には分からないだろうな。

pandora’s box:パンドラの箱(ギリシャ神話でゼウスがパンドラに開けさせた箱。中にはさまざまな禍が入っていてそれらの禍が箱から出た後、最後に希望が残りました。) 
hateful: 嫌な 
arrogance: 傲慢 
spite: 悪意 
condescension: 人を見下すこと 
zing: ~を急速に動かす、〜に一撃を加える、やり込める 
nasty: 意地の悪い 

ジョーはキャスリーンに嫌なことを言ってしまい、後悔。しかし一緒に暮らしている彼女には言わずにshopgirlに打ち明けています。 

 

I get tongue-tied. 言葉が出ない

キャスリーンのメール① ジョーのメール②への返信 

No, I know what you mean, and I’m completely jealous. 

いいえ、分かるわ。それってすごくうらやましい。

What happens to me when I’m provoked is that I get tongue-tied and my mind goes… blank.  

私は怒ってもうまく言えないの。私の気持ちは空っぽになってしまって…。

Then I spend all night tossing and turning… trying to figure out what I should’ve said. 

そして夜はずっと寝返りばかり打って過ごすの…なんて言ったらよかったのか考えながら。

 

What should I have said, for example, to the… bottom-dweller… who recently belittled my existence? 

なんて言ったら良かったのか、例えば底辺で生活している… 最近私の存在なんかどうでもいいって思わせたあいつに。 


Nothing? Nothing. Even now. Even now… days later… I can’t figure it out. 

何もない?ないの。今でも まだ…何日も経っているのに…分からないの 

completely: 完全に 
jealous: 嫉妬深い、ねたむ 
provoke: 怒らせる、じらす 
tongue- tied: 自身を表現するのが難しい、スラスラ言えない 
toss and turn: 眠れなくて寝返りを打つ 
bottom-dweller: 底辺生活者、海底で生活する魚 
belittle: けなす、軽く扱う 
existence: 存在 

言いたいことが言えないけど、自分が言いたいことが何かも分からないキャスリーン。 
キャスリーンの気持ち、分かります。眠れなくなるほど悩むことはあまりないけど…イヤなことを言われてモヤモヤすることは結構あります。言い返さないと、言ってもいいんだと思われてさらに言われる悪循環に陥っているような気もするけど、言い返したとて不毛なのです。 

Remorse inevitably follows.後悔は避けられない

ジョーのメール③ キャスリーンのメール①への返信 

When you finally have the pleasure of saying the thing you mean to say… at the moment you mean to say it, remorse inevitably follows
ついに言いたいことを言う喜びを得て… 言いたい時に言えても、後悔することになる 

remorse: 悔い、自責の念  
inevitably: 必然的に 
remorse inevitably follows「後悔は必然的について来る→後悔することになる」 

やはり相手を言い負かすようなことは言わない方がいいですね。私は言い負かされてばかり(泣)。後からこう言えば良かったかなと思うこともありますが、言ったとて…とて… 

Everything that’s going badly in my life will sort itself out. 人生でうまくいっていないすべては、じきに落ち着く。

クリスマスの時期に亡き母を思い出すキャスリーンのセリフ 

I need her to make me some cocoa… and tell me that everything that’s going badly in my life will sort itself out. 

ママにココアを作ってもらって…そして私の人生で良くない方向に行っているすべてのことは、じきに整うよって言ってもらいたいな。

 

going badly: 悪い方向にいく 
sort oneself out: 落ち着く 

母が残してくれた思い出の店の存続が危うくなり、母に助けてもらいたい気持ちになっています。大人になっても、母の存在は大きいですね。私の母はもう亡くなりましたが、今でも(生きていた時よりも)よく思い出します。自分は子供にとってそんな存在になれているかは???です。 

It’s not personal, it’s business. 意地悪じゃない、仕事なんだ。

仕事で悩むキャスリーンにジョーが送ったチャットです。 

It’s not personal, it’s business. It’s not personal it’s business.” 
Recite that to yourself everytime you feel you’re losing your nerve. 
個人攻撃じゃなくて仕事。個人攻撃じゃなくて仕事。」
おじけづきそうになったらいつも、この言葉を心の中で唱えて。 

recite:暗唱する、復唱する 
lose one’s nerve: おじけづく、気後れする 

ジョーは仕事で成功するためには相手を思いやっている場合ではないと言うのですが、キャスリーンにできるとは思えません。 

I sell cheap books. I do. So, sue me. 安い本を売っているかって?売ってるよ。訴えてみろ。

TV中継の中でジョーが発言するシーン 

Joe: I sell cheap books. I do. So, sue me. 
ジョー:安い本を売っているか?売っています。訴えてみろ 

Reporter: And that, in a nutshell, is the Fox Books philosophy. 

リポーター:この言葉にフォックス・ブックの価値観が集約されています 

in a nutshell: 一言で言えば、端的には  
philosophy: 哲学、価値観 

最初の文は疑問形になっていませんが、次の文とセットになっていて自分で質問して自分で答えています。So, sue me.は「法律違反ではないはずだ。訴えられるようなことはしていない。訴えられるものなら訴えてみろ」と言ったニュアンス。 
リポーターのセリフは直訳すると「そしてこれが、端的にいうとフォックス・ブックスの価値観です。」になります。

Do you mind if I borrow this chair? この椅子を借りてもいいですか?

メール相手のNY152と会う約束をしたカフェで待っているキャスリーン 

Do you mind if I borrow this chair? 
この椅子借りていいですか? 

Kathleen: Yes, I mind. Sorry. I’m expecting someone. 
キャスリーン:ごめんなさい。だめなんです。人が来るので。 

Do you mind~?:~したら気にしますか? 

答えはYes.だと「気にします」で、つまり「ダメ」
No.だと「気にしません」つまり「好きにしてください」ということです。 

キャスリーンはテーブルの向かいにある椅子を持って行かれそうになりますが、阻止しました。ジェスチャーしながらDo you mind?といえば、色々な状況で使えます。例えば窓を開けたい(閉めたい)とき、何か物を借りたい時などです。 

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