500日のサマー  


500日のサマー [DVD]

作品紹介 

「500日のサマー」は2009年のアメリカ映画で、ゴールデングローブ賞の作品賞にノミネートされました。 原題は「(500)days of summer」です。

主人公のトムがサマーに出会ってからの500日間を描いた作品で、時系列順でなく日付を順不同に見せています。

回想シーンもあって、私は2回目に見た時にやっと繋がった感じでしたが、分かる人はちゃんと1回目で分かるはず。 

運命の人を信じているトムと、恋は続かないものだと思っているサマー。そんな2人のラブストーリーでは、同じ場所にいても、出会ってからの日にちによって2人の関係性が変化が。 

ロサンゼルスのグリーティング・カードの会社で働いているトムは、社長のアシスタントとして入社したサマーと出会います。サマーは子供の頃からずっと、人気者の人生を歩んできました。 

トムは建築の勉強をしていましたが、今はグリーティング・カードの会社でコピーを考える毎日。そんな中でサマーと出会い、恋愛中心の生活になっていきます。 

恋がうまくいっているかどうかで、トムは分かりやすくハッピーになったり落ち込んだり。うまくいっている時は、仕事でもいいコピーをすぐに思いついて大活躍。 

一方、サマーに振られると仕事のやる気もおきなくなり、グリーティング・カードの言葉や映画のセリフ、歌詞などで夢見ていた理想が現実とならないことに幻滅します。 

新しい恋をするといいと友人や妹から言われますが、トムはサマー以外の女性に興味を持てません。 

トムの気持ちは変わらず、サマーだけが冷めていくのでトムが可哀想になりますが、サマーと別れたおかげでトムは会社を辞めて再び建築の道を目指すことに。 

最初にラブストーリーではないとの断りがありますが、ジャンル的にはやはりラブストーリーかなと思います。 

監督・キャスト紹介 

監督

マーク・ウェブ(Marc Webb)。「500日のサマー」が初監督作品です。 

キャスト

ズーイー・デシャネル(Zooey Deschanel) 

サマー・フィン(Summer Finn)役。

主な作品は2008年のジム・キャリー主演映画「イエスマン”Yes”は人生のパスワード」。テレビドラマでは2011年から2018年まで続いた「New Girl /ダサかわ女子と三銃士」の主演を務めました。姉は骨をヒントに事件を解決するテレビドラマ「BONES」に出演していたエミリー・デシャネルです。 

ジョセフ・ゴードン=レヴィット(Joseph Gordon-Levitt)

トム・ハンセン(Tom Hansen)役

この作品でゴールデングローブ賞の主演男優賞にノミネート。2016年の映画「スノーデン」では主役のスノーデンを演じています。 

ジェフリー・エアンド(Geofferey Arend) 

トムの同僚で友人のマッケンジー(McKenzie)役

テレビドラマ「マダム・セクレタリー」に出演。

マシュー・グレイ・ギュブラー(Matthew Grey Gubler)です。 

トムの友人ポール(Paul)役

テレビドラマ「クリミナル・マインドFBI行動分析課」のメインキャスト。

クロエ・グレース・モレッツ (Chloë Grace Moretz)

トムの妹、レイチェル・ハンセン(Rachel Hansen)役

2010年の映画「キック・アス」で有名になる1年前の姿が見られます。 

セリフ紹介 

1日目  トムとサマーの出会い

Narrator: This is a story of boy meets girl.

ナレーター:これは男女が出会う話である。

The boy, Tom Hansen of Margate, New Jersey… grew up believing that he’d never truly be happy until the day he met…”the one.”

男はトム・ハンセン。ニュージャージー州マルゲート出身。「運命の人」に出会うまでは本当の意味での幸せにはなれないと信じて生きてきた。 

This belief stemmed from early exposure to sad British pop music… and a total misreading of the movie “The Graduate.” 

この考えが芽生えたのは、幼少期にイギリスの悲しいポップスを聞き…映画「卒業」を間違って解釈したからだ。 

the one: 運命の人 

stem from:〜に起因する(stemは茎と言う意味なので、stem fromでニュアンス的には〜から茎が出ているといった感じです。 

exposure: 身をさらすこと、さらされること

total:全くの、完全な 

misreading: 誤解 

「The Graduate」は1967年の映画「卒業」:ダスティン・ホフマン演じるベンジャミンが、エレインの結婚式を行っている教会に行き式の最中の彼女を新郎から奪い去る場面が有名です。トムがどう解釈したのか…ベンジャミンが運命の人を見つけたと思ったのかもしれません。「卒業」のような結婚式が本当にあったら引くと思いますが、映画のように新婦を奪いにくる男が来るかもなんて思って式に参列している人は結構いそうな気がします。 

”the one” は、よく出てくるセリフYou are the one.(あなたは運命の人)から来ています。the one のニュアンスとしては「特別、1番」といった感じで、 

You are the one I want to spend the rest of my life with.  

一生一緒にいたいのは君だ。 

You are the one I want to get married. 

結婚したいのは君だ。 

You are the one I’ve been looking for. 

ずっと探していた運命の人は君だ。 

You are the one.だけで上の3つの文が全部合わさったような意味合いであることが伝わります。 

テレビドラマの「Sex and the city」ではキャリーがMr.ビッグに「You are the one.」といってもらいたくて頑張っていたような記憶があるのですが、もしかしたらMr.ビッグに限らずその言葉を言ってくれる人を探していただけかも… 

3日目 近寄り難いサマー

同僚のマッケンジーは、サマーはみんなと打ち解ける気がないようだと言います。 

Tom:  Why is it pretty girls think they can treat people like crap and get away with it?  

トム:なんで可愛い子は周りにひどい態度を取っても逃れられると思っているんだ? 

McKenzie: Centuries of reinforcement

マッケンジー:今まで許されてきたからだろ。 

crap:ゴミ 

century:100年間、長時間 

reinforcement:補強、増強、信念や行動が確立される過程 

centuries of reinforcement.は長い間補強されてきた→長年の経験から。子供の頃から周りに甘やかされてきたから。サマーに話しかけてもあまり相手にされなかった人の話を聞いたトムの同僚は、自分で話しかける勇気もなく悪口を言っています。 

11日目 妹レイチェルのセリフ

妹が家に来て、一緒にゲームをしながら話をしています。 

Just because some cute girl likes the same bizzaro crap you do, doesn’t make her your soulmate, Tom. 

可愛い子と趣味が同じだったからって、彼女にできるわけじゃないよ。トム。 

just because~:ただ〜だからと言って 

some: ある(a,anと同じ使い方) 

bizzaro:突拍子もないもの 

crap:たわごと 

soulmate:心の友、親友 

可愛い子と話が合えば舞い上がってしまうもの。しかしトムの妹は冷静に分析。bizzaro crapで「どうでもいいようなこと」、シンプルにthingとも言い換えられます。soulmateは理想の彼氏・彼女や結婚相手に対して使うことが多い言葉。 

22日目 サマーを想うトムのさみしいセリフ

サマーに好意を気づいてもらおうとするが、気づいてもらえないトム。 

People don’t realize this, but loneliness-it’s underrated

みんな気づいてないけど、孤独って…大したことないと思われているんだ。 

realize: 〜だと言うことを理解する 

loneliness:孤独 

underrate:過小評価する  

サマーに出会う前も彼女はいなかったので状況は変わっていないのに、サマーは自分に関心がなさそうだと決めつけて落ち込むトム。恋愛中心の考え方になってきています。孤独は辛いと言っているのですが、DVD字幕では”快適だ”となっていました。強がりでしょうか? 

109日目  ①サマーの部屋での会話

初めて部屋に入れてもらい、サマーが見た夢の話を聞くトム。 

Narrator: As he listened, Tom began to realize that these weren’t stories routinely told.

ナレーター:聞いているうちにトムは気づいた。この話は普段している話じゃない。

These were stories one had to earn.

努力した人しか聞けない話だ。

He could feel the wall coming down.

サマーの壁が低くなるのを感じた。

He wondered if anyone else had made it this far.

ここまでサマーの壁を低くさせた男がいただろうか。

Which is why the next six words changed everything. 

だから次の言葉は全てを変えた。 

Summer: I’ve never told anybody that before. 

サマー:こんな話は今まで誰にもしたことがなかった。 

routinely:いつものように、日常的に 

earn:働いて稼ぐ 

wall:壁 

wonder if:〜かしらと思う 

出会ってから3ヶ月ちょっとで、トムはサマーが自分に心を開いてくれたのだと喜びます。

109日目 ②トムが友達に話すセリフ

You know, we’re adults.

大人なんだから。

We know how we feel.

お互いの気持ちはわかっているし…

We don’t need to put labels on it.

型にはめなくていい。

I mean “boyfriend,” “girlfriend.”

「彼氏」とか「彼女」とかっていう。

All that stuff is –It’s really juvenile

それって…ガキっぽいだろ。  

label:〜にラベルを貼る、レッテルを貼る

stuff:バカげた考え 

juvenile:若い、未熟な

サマーの壁が低くなったと感じた日のことですが、それでも友達に彼女とは言えません。

サマーから真剣に付き合うつもりはないと言われているので、うまくいっていても彼氏・彼女の関係ではなく、モヤモヤ。しかし強がってこれでいいのだと思い込もうとしています。 

259日目  ケンカの後、謝りに来たサマーとトムの会話

Tom: Look, we don’t have to put a label on it.

トム:はっきりさせなくてもいい。

That’s fine I get it.

それは分かった。

I just… I need some consistency.  

ただ信じたいんだ。 

Summer: I know. 

サマー:分かるわ。 

Tom: I need to know that you’re not gonna wake up in the morning… and feel differently.

トム:知りたいんだ。朝起きても…気持ちは変わらないって。

Summer: And I can’t give you that.

サマー:私にも分からないの。

Nobody can. 

誰にも。 

consistency: 矛盾がないこと、堅実さ、一貫性 

先のことはわからないというサマー、求めているものが違うのでサマーにはトムが負担に。トムは無理して大丈夫なふりをしています。 

345日目 ブラインドデートの相手、アリソンとの会話

友達の紹介でデートしたアリソンにサマーとのことをグチります。 

Tom: I liked this girl.

トム:好きだった。

I mean, I loved her.

っていうか、愛してたんだ。

What does she do?

彼女の仕打ちはというと…

She took a giant shit on my face.

巨大なクソを俺の顔に乗せてきたんだ。

Literally. 

文字通りに。 

Alison: Literally? 

アリソン:文字通りに? 

Tom: Not, literally. 

トム:いや、文字通りではないけど。 

shit: 大便 

literally:文字通りに  

literallyでなくfiguratively(比喩的に)なことをliterallyと言っているシーンです。テレビドラマ「ママと恋に落ちるまで」でも、ロビンが「That literally blew my head. 」といったことに対してマーシャルが「Figuratively.」と訂正して、うっとうしいと口論になるエピソードがあります。 

402日目 期待 vs. 現実

サマーに屋上でのパーティーに誘われ、復縁を願って訪ねていくトム。

トムの気持をナレーションで伝えるセリフ。

He believed that this time…

his expectations would align with reality. 

彼は信じてた。今回は…

期待していることが現実になると。 

expectation:予想、期待 

align:整列する、提携する 

reality: 現実 

期待していたように現実はいかないものです。この場面は2分割になっていて期待していたことと現実が同時に見られます。理想と現実が整列(align)すれば、両方の画面が同じになるはずですが…。

イラストレーターのソフトでいくつかのイラストを整列させるときも「align」と言います。 

442日目 会議でグリーティング・カード文化を責めるトムのセリフ

サマーとうまくいっていて幸せな時は、グリーティング・カードのコピーも次々に思いついていました。しかしうまくいかなくなると、トムはカードにまで八つ当たりします。

It’s these cards, and the movies, and the pop songs.

グリーティング・カードや映画、音楽なんかは

They’re to blame for all the lies… and the heartache, everything.

ウソばかりで傷ついたり…もろもろの原因なんだ。

And we’re responsible.

だから我々の責任だ。

I’m responsible. 

僕の責任でもある。  

be to bleme:~に対して責任がある 

responsible:責任がある 

現実では感動するような言葉を耳にできる時はなくても、映画などで自分が言われているように錯覚することで幸せを感じる人は多いと思いのでは?

be to bleme といえば、Bon Joviの「You Give Love A Bad Name」の歌詞 

Shot through the heart and you are to blame  

(ハートを撃ち抜かれた そしてそれは君のせいだ) 

のメロディーが思い浮かびます。 

トムは映画のセリフなどを信じて、運命の人と幸せになれると思っていたのに振られてしまいました。別れの歌や救いようのないような映画もあるので、トムがいい面ばかりを信じてしまっただけですが… 

うまくいかないな…理想と現実は違うんだと思う時には、私はNatalie Imburgaの歌「torn」に出てくる 

Illusion never changed into something real. 

(幻想は絶対に現実にはならない) 

I’m wide awake and I can see the perfect sky is torn. 

(はっきり目覚めて 完璧な空が裂けているのが見える) 

のメロディーが心に浮かびます。 落ち込んでいる時のための歌詞だかは分かりませんが…

カードの言葉や歌詞、映画のセリフなどは現実には起こらないと分かっていても励まされるものです。 

まとめ 

回想シーンの中で出てきたので、何日目に見た映画だかわからないのですが…

映画「卒業」をトムと見た時に、サマーはなぜあんなに泣いたのか? 

最初に私がこの作品を見た時には「卒業」を見た時点でサマーは結婚が決まっていて、トムに迎えに来てほしい気持ちになっているのかと思いました。しかし2回目に見てみると、結婚相手と出会ったのはトムと別れて会社を辞めてからです。 

トムと付き合い続けて「運命の人だ」と思えない相手と結婚してしまうことへの不安があったり、本当にやりたいことをやっていないトムと一緒にいるのがつらくなったりしたのかもしれません。 

真剣な付き合いをせずに人生を楽しみたいと言っていたサマーですが、運命の相手と出会います。

明日も好きでいるかわからないようなトムに対しての気持ちとは違って、将来を考えられる相手が見つかったのです。 

トムはサマーを愛していたけど、どうやら運命の人ではなかったようで…。 

そもそも運命の人はいるのか?いるとしたらどうやって見つけるのかは分かりません。偶然出会った人のことを、運命の人だと思うかどうかは自分の気持ち次第。 

付き合うことになったり、結婚することになったりする相手との出会いが運命的でも偶然だと思っても、その後の生活が幸せならばいいかなと思います。 

サマーのファッションも見どころの一つ。特に8日目に着ている水色のフリルのついたブラウスと紺色のスカートの組み合わせが好きです。

最後にフルバージョンの予告編をどうぞ!1日目のセリフも出てきます

コメント

  1. […] マーク・ウェブ(Marc Webb)。主な作品は2009年の「500日のサマー」。  […]