作品紹介
スキャンダルは2019年のアメリカ映画。
原題は「衝撃の事件」という意味の「ボムシェル(Bombshell)」です。
マンハッタンにあるフォックス・ニュースは、ニュース番組を専門に扱うアメリカのテレビ放送局。このテレビ局を舞台に3人の女性、グレッチェン、メーガン、ケイラが登場します。保守的で共和党寄りの同局はドナルド・トランプ氏に好意的な発言をすることで、トランプ支持の視聴者を集めていました。
フォックス・ニュースの番組でホストを務めていたグレッチェンは、番組をクビになった後で同局の会長でCEOのロジャー・アイルスからセクハラを受けていたとして、ロジャー個人を訴えます。グレッチェンは番組をやめてからロジャーを訴えようと、以前から準備をすすめていました。
メーガンはフォックス・ニュースのプライムタイムでアンカーを務め、2016年当時大統領候補だったドナルド・トランプ氏にインタビュー。質問の内容が彼を怒らせてしまい、その後約一年にわたってツイッター上で批判されていました。
ケイラはロジャーからセクハラを受けています。断れずに言われた通りにしてしまったためです。
フォックス・ニュースは現在、日本では視聴できません。個人的にはドラマや映画のイメージが強いFoxですが2002年にCNNを抜いて以来、ケーブルニュースの中で視聴率1位を維持しています。FoxNewsのスローガンは「Fair and Balanced(公平・公正)」と「We report, You decide(伝えるのは私たち、決めるのはあなた)」です。
この作品でシャーリーズ・セロンがアカデミー賞主演女優賞にノミネート、マーゴット・ロビーが助演女優賞にノミネートされました。
監督・キャスト紹介
監督はジェイ・ローチ(Jay Roach)で、主な作品は2002年の「ミート・ザ・ペアレンツ」です。
Megyn Kelly メーガン・ケリー役:Charlize Theron シャーリーズ・セロン
2004年の「モンスター」で、アカデミー賞主演女優賞を受賞。
Gretchen Carlson グレッチェン・カールソン役: Nicole Kidman ニコール・キッドマン
2003年の「めぐりあう時間たち」でアカデミー賞主演女優賞を受賞。
Kayla Pospisilカイラ・ポスピシル役:Margot Robbieマーゴット・ロビー
2018年の「アイ・トーニャ」でアカデミー賞の主演女優賞にノミネート。
セリフ紹介
News is like a ship. ニュースは船のようなもの
ニュースに対するロジャーのコメントです。
News is like a ship.
ニュースは船のようなものだ
You take your hands off the wheel and it pulls hard to the left.
舵を取る手を離したら左に強く引っ張られてしまう
左はリベラル派の民主党、右は保守派の共和党を表します。Foxは共和党寄りのチャンネルなので、保守的な発言が多いです。
I want a little loyalty. 忠誠心を見せて
他の番組に行こうとするケイラを引き止めるグレッチェンとケイラの会話
Kayla: I’m confused. You want me to pass on a promotion so you can help me get the same promotion on a show with worse ratings.
ケイラ:分からないわ。視聴率の悪い番組で昇進させるためにもっといい昇進を見送れっていうの?
Gretchen: I want a little loyalty. I need loyalty.
グレッチェン:少しの忠誠心が欲しいの。忠誠心よ。
Kayla: I’m loyal to network.
ケイラ:私は局に忠誠なの
ケイラはロジャーに「忠誠心」を見せろと言われてセクハラされていました。それを自分も言ってしまうことになるのはちょっとした皮肉ではないかと思います。
How you treat people you disagree with says everything about you.
スーパーで番組の悪口を言われたグレッチェンが言い返したセリフです。
I hope that makes you feel better. How you treat people you disagree with says everything about you.
それで気が晴れたことを願うわ。意見の合わない人への接し方でその人のことがわかるのよ。
How you treat people~(〜な人たちへの接し方が)
you disagree with(あなたが同意できない)←ここまでが主語です。
says everything about you.(あなたの全てを物語る)
悪口を言われても、なかなか言い返せないものです。テレビで自分の意見を言うような仕事をしていると、悪口を言われることにも慣れてきて、言い返す言葉を決めていたのかもしれません。
It’s never too late to make a difference. Based on the real scandal, #BombshellMovie starring @CharlizeAfrica, Nicole Kidman and @MargotRobbie is out now on Digital, Blu-ray & DVD.
— Bombshell (@bombshellmovie) March 17, 2020
次の場所は違う?それとも私が違くさせる?
I want something in return. 見返りが欲しい
ケイラへのロジャーのセリフ。ビジネスの交渉でも使えそうな表現です。
I can plunk you out and move you all the way to the front of the line. But I want something in return.
今の場所から最前線に来させることもできる だが何か見返りが欲しい
You know what that is, Kayla? Loyalty. I need to know that you’re loyal. I need you to find a way to prove it.
何だと思う、ケイラ? 忠誠心だ。君に忠誠心があることを知りたい。君には忠誠心をどうやって証明するか見つけて欲しい
ロジャーは「loyalty」という言葉を使うのが好きだったようです。権力のある人が使うと、相手が自分の考えで要求に応じるようにプレッシャーをかける言い方になりますね。
plunk: 放り出す
loyalty:忠誠心
I jumped off a cliff. 崖から飛び降りた
グレッチェンのセリフ。清水の舞台から飛び降りる心境で上司を訴えたグレッチェンですが、一緒にロジャーを訴えてくれる女性は現れてくれません。
No woman gets to sue her boss.
上司を訴える女性はいない
Rule #1, corpotate America- you don’t sue your boss.
アメリカ企業のルール1 上司を訴えるな
I jumped off a cliff.
私は崖から飛び降りたの
I thought one of them would stand with me.
1人は仲間になってくれると思った
上司を訴えると雇ってくれる企業がなくなるためその後の転職に不利です。それでもグレッチェンは現状を変えようと、ロジャーを訴えることにしました。被害にあったのは自分だけではないはずなのに、自分や周りの仕事への影響を考えてFoxで働いている女性は名乗り出てくれません。
まとめ
上司にセクハラされても耐えて働き続ける。または黙ってやめる女性が多いのではないでしょうか。そんな中グレッチェンは1年かけて準備し、上司のロジャーを訴えました。
ロジャーが多額の示談金を支払ったことで、セクハラの事実はあったものと推測できますが詳細は明らかにされないままです。
それでもグレッチェンが訴えたことにより権力のある立場のロジャーを退社させた意義は大きく、彼女が声を上げたことで今後の被害者が減ってくれればと思います。
最後に予告編をどうぞ。ビリー・アイリッシュの「Bad guy」もいい感じです。
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