ABOUT TIME

作品紹介 

映画「ABOUT TIME」は2013年のイギリス映画です。 

主人公のティムはコーンウォール出身。コーンウォールはイングランドの南西の端に位置している半島の部分で、ロンドンから電車で5時間ぐらいかかります。 

季節や天気にかかわらず、ティムは21才まで毎日家族とビーチで紅茶を飲み、サンドイッチを食べ、金曜日の夜は映画を見るといった日々をくりかえす生活を送ってきました。 

21才になると、父親から家族の重大な秘密を打ち明けられたティム。 

その秘密とは代々この家に生まれた男性は、タイムトラベルして過去に戻れると言うものでした。 

タイムトラベルを使ってしてみたいことで、ティムが最初に思いついたのはお金もうけです。しかし身の破滅を招くと父親に言われ、彼女を作るために役立てることに。 

その後ロンドンで弁護士になったティムは、メアリーと出会います。しかしメアリーと出会った夜、ティムが下宿させてもらっている、父の友達が手がけた舞台で役者が大失敗。タイムトラベルして危機を救ったのですが、メアリーと交換した電話番号が消え彼女の記憶からもティムとの出会いは消えてしまいました。なんとかふたたび出会い、付き合うように。

結婚して子供が生まれると、毎日が幸せでタイムトラベルの必要性を感じず、普通の生活を送っていました。しかし今度は妹を救うためにタイムトラベルして現在に戻ってみると、子供が別人に。 

子供が生まれる前に戻ることはできても、現在への影響が大きい(生まれる子供が変わってしまう)ので事実上、子供が生まれる前には戻れないということを知ったティム。妹を救うために過去を変えるのでなく、より良い未来になるように寄り添います。過去に戻れるティムは、どんな時間の使い方をするのか。 

見終わった時にほっこりして、毎日を大切に生きようと言う気持ちになる恋愛映画です。 

監督・キャスト紹介 

監督・脚本

リチャード・カーティス (Richard Curtis) 

2003年の映画「ラブ・アクチュアリー」の監督と脚本も手がけています。 

キャスト 

主役のティム・レイク(Tim Lake)はドーナル・グリーソン(Domhnall Gleeson)。 

メアリー(Mary)を演じたのは、2004年の映画「きみに読む物語」や2015年の「スポットライト」など多数の出演作があるレイチェル・マクアダムス(Rachel Mcadams)。 

ティムの妹のキット・カット(Kit Kat)にリディア・ウィルソン(Lidia Wilson)。 

ティムの初恋の人シャーロット(Charlotte)役はマーゴット・ロビー(Margot Robbie)で、主な出演作は2016年の「スーサイド・スクワット」と2017年の「アイ、トーニャ」です。

セリフ紹介 

ティムが妹のキット・カットを紹介するシーン 

In a household of sensible jackets and haircuts there was this, well, what can I call her, nature thing.

スーツ姿や赤毛のいる家族で、妹は自然体と呼ぶのにふさわしい。

With her elfin eyes, her purple T-shirts and her eternally bare feet, she was then, and still is to me, the most wonderful thing in the world. 

妖精の目と紫のTシャツにいつも裸足の妹は、昔から変わらず僕にとって世界一ステキな存在だ。 

映画「About Time」

household:家族、世帯 

sensible:感じやすい 

elfin:妖精 

eternally:永遠に 

bare:裸の 

feet:foot(足)の複数形 

sensible jackets and haircutsの部分は、デズモンド伯父さんがいつもきっちりスーツを着ていること、そしてティムの赤毛であまり気に入っていない髪型のことを言っています。その後のthere was thisでthisと呼んでいるのは妹のことです。 

21才になり、父から家族の秘密を打ち明けられるが全然信じないティム。 

Tim: If it’s true, which it isn’t

ティム:もし本当なら、本当じゃないけど。 

Dad: Although it is. 

父:本当だけど。 

Tim: Although it isn’t, obviously.

But if it was, how would I actually… 

ティム:本当じゃないよ。わかってる。

でももし本当なら、実際にはどうやって… 

although:~であるけれども 

obviously:明らかに、言うまでもなく 

会話が速く簡単な単語でもスピードについて行くのが大変ですが、字幕だと飛ばされてしまうようなセリフが聞き取れると面白い場面。 

なりたい自分になれるような人生を過ごすために使わなければならない

この秘密を母は知っているのか?と聞くと.. 

Tim: Does Mom know? 

ティム:ママは知っているの? 

Dad: Not a whistle

父:まったく知らない。 

whistle:口笛、ホイッスル 

ポイント:not a whistleで「何も知らない」と言う意味になります。「ピューとも知らない」と言う感じでしょうか。 

タイムトラベルを使ってお金儲けをしたいと考えるティムへの父の言葉。 

Dad: Very mixed blessing

父:諸刃の剣だ 

mixed blessing: いい面もあるが、悪い面もある 

ポイント:お金持ちになっても、幸せになれるわけではない。お金よりももっと大切なものを見つけて欲しいということだと思います。 

お金の心配をしなくてすむ生活にあこがれるティム。 

Tim: It would be nice not to have to work. 

ティム:働かなくてもいいならいいよなぁ。 

Dad: No, that’s a real recipe for disaster

父:ダメだ。そんなのは悲劇の始まりだ。 

a recipe for disasterは「結果的にdisaster(大惨事)になってしまうこと」です。働いて得たお金で、それほど贅沢せずに暮らすのがいいと言うことでしょう。 

働かなくていい暮らしには私も憧れます。しかしお金があるからと言って何もせずに遊んで暮しても、いいことはないのかも。好きな仕事、楽しい仕事ができるようになるのが理想何だろうけど、とりあえずは好きじゃない仕事でもいいところを見つけるようにするしかないのか…「毎日おいしいコーヒーが飲める!」今の会社のいいところです。

彼女を作りたいと言うティムと父親の会話

Dad: Massive. 

父:素晴らしい 

Tim: The mothership

ティム:最高だ 

massive: すてきな、素晴らしい 

mothershipを辞書で引くと「母船・母艦」といった意味しか出てきません。ここは文脈から意味を考えるところで、タイムトラベルの1番いい利用方法を思いついたことを伝えたいので「最高だ」です。 

↓ 

後で再び父の秘密を聞くシーンが出てきます 

Tim: There’s another secret? 

ティム:他にも秘密があるの? 

Dad: Less dramatic.

父:騒ぐようなことじゃない。

Much more important. 

もっと重要なことだ。

The real mothership

本当の幸せだよ。 

ティムが言った「The mothership」と言う言葉に「real」を足して父親が繰り返しています。ここでも文脈から意味を捉えることになるので「幸せになるための秘訣」と言うことだと思います。 

シャーロットに失恋したティムのセリフ

Big lesson number one, all the time traveling in the world can’t make someone love you

1つ学んだ。世界中をタイムトラベルしても

誰かに自分を愛させることはできないのだ。 

タイムトラベルして告白をやり直しても、結局振られてしまうティム。告白のタイミングなど関係なく、相手が自分に気があるかどうかってことですね。

できるのはタイムトラベルであって、人の気持ちを変えられるわけではないことに気づきます。 

ハリーが脚本を描いた舞台の初日、感想を聞くティム。 

Harry: It went well.

ハリー:うまくいったよ。

You could tell in the room a masterpiece was being unfurled. 

劇場内では傑作が展開されていると言う声も聞けただろう。 

Tim: Really? 

ティム:本当に? 

Harry: Really.

ハリー:本当だ。

Until, and this is the crucial plot point,

重要な場面になるまではだけど

I think, until the lead actor had most massive dry in the history of theatre. 

主演の俳優が劇場史上最も長く 

声を発しなかったのだから 

masterpiece: 傑作 

unfurl: 展開する 

crucial: きわめて重要な 

plot: (話の)筋 

ティムが下宿させてもらっているハリーが手がけた舞台で、役者がセリフを忘れてしまいます。

dryに「台詞を忘れる」と言う意味があるのは初めて知りました。声が出ないほどの口がカラカラになってセリフが出てこない様子が想像できます。 

ティムとメアリーが住んでいるアパートに、メアリーの両親が突然訪ねてきたシーン 

Tim: Could you just stall themStall them

ティム:ちょっと引き止めておいて。頼む。 

「stall+人」で人が何かをするのを一定の時間だけさせないようにすると言う意味です。ティムは慌てて着替えながら、アパートの外に来ている両親がすぐに建物に入って玄関の前まで来ないように頼んでいます。 

ティムは初恋のシャーロットを見かけますが、結局話しかけないことに

Tim: Best let sleeping dogs lie. 

ティム:寝た子を起こすなって言うだろ 

日本では刺激せずにそのままの状況にしておいたほうがいい時「寝た子を起こすな」や「さわらぬ神に祟りなし」と言いますが、英語では犬を寝かしておくんですね。 

このセリフの前に話しかけたのですが、うまく行かず…タイムスリップしてやり直してもまたもや失敗したので”もうやめておこう”ということです。

結婚式での父のスピーチ。 

I’d only give one piece of advice to anyone marrying.

結婚する人にするアドバイスはひとつだけ

We’re all quite similar in the end.

みんな最後は結局ほぼ同じ

We all get old and tell the same tales too many times.

みんな年をとって同じ話ばかりするようになる

But try and marry someone kind.

だが誰か優しい人と結婚するといい。

And this is a kind man with a good heart.

そして息子はすてきな心を持った優しい男だ。

 I’m not particularly proud of many things in my life, but I am very proud to be the father of my son. 

私の人生で特別誇れるようなことは多くないが、息子の父親になれたことはとても誇りに思っている。 

父親の愛情が伝わるすてきなスピーチです。 

新婦が赤のドレス。結婚式の後自宅でパーティーをするのも、日本だとなかなかみられない光景です。

大切な人を見つけて離さないこと

結婚式の後、家の中でダンスを踊ったりくつろいだりしているシーン。 

Tim: Do you wish we’d picked another less wet day

ティム:もっと天気の良い日にしたかったなって思う? 

Mary: No. Not for the world

メアリー:まったく思わないわ。 

Tim: Phew. 

ティム:そうか 

Mary: And so it begins. 

メアリー:そうやって始まるのよ。

Lot’s and lots of types of day. Fun. 

いろんな日がある。楽しもう。 

メアリーが晴れの日が良かったといえば、ティムはタイムトラベルして晴れの日を選び結婚式をやり直していたかもしれません。前向きなメアリーを見習いたいと思います。 

「less wet day」は「もっと雨がない日」なので「fine day」や「 sunny day」 と言い換えることもできますが、「less wet day」の方がステキです。

雨の日に「I hope it’ll be less wet day tomorrow.」とか使えるかもしれません。

「not for the world 」で「全く、全然」の意味。さらっと言ってみたいセリフだなと思います。

ティムとメアリーに娘が生まれたシーン①

Tim: No one can ever prepare you for what happens when you have a child.

ティム:子供が産まれた時のために準備できる人なんて誰もいない。

When you see the baby in your arms

and you know that it’s your job now. 

わが子を腕に抱いたら 

子育てが自分のすべきことだとわかる。

No one can prepare you for the love and the fear.  

子供への愛と不安は準備できるものじゃない 

「no one can prepare you for~」は直訳すると「誰もあなたに〜の準備をさせることはできない」となります。「no one」も「you」も親になる本人のことと考えられるので「誰も準備できない」に。

子供ができるまでは自分が親になることを想像できない物です。ちゃんと子育てできるかなとか不安はあっても、私は妊娠した時点でお腹の子を守っていかなきゃって思いました。

今は子供も巣立ってしまい、さみしいですがそんな気持ちもこのブログで紛らわします!

ティムとメアリーに娘が生まれたシーン②

No one can prepare you for the love people you love can feel for them.

ティム:あなたの愛する人達が子供に対して感じる愛は 予測不可能だ

And nothing can prepare you for the indifference of friends who don’t have babies. 

子供のいない友達の無関心にも

Indifference: 無関心 

子供のいない友達は赤ちゃんが苦手というのはよく分かります。私も自分の子供が産まれるまでは、赤ちゃんや子供とどう相手したらいいか分からずに結構苦手でした。最近は外で小さな子を見かけても可愛いなと思ってほっこりします。

ティムが3人の子供達のために朝食を準備するシーン

I just try to live everyday

as if I’ve deliberately come back to this one day,

ただ毎日を生きるようにしているんだ 

その日めがけてタイムトラベルしてきたような気持ちで

to enjoy it, as if it was the full final day of my extraordinary, ordinary life

その日を楽しむために 普通じゃない普通の人生の、最後の日のように。 

deliberately: 故意に、計画的に  

extraordinary: 異常な、並外れた 

ordinary: 通常の、普通の 

タイムトラベルの力を使わなければ、ティムも普通の人と同じ生活です。

戻ってやり直すことができると分かっていても、戻る必要がないようなステキな日、いつか戻って来たくなるような日を過ごそうとしています。 

娘のポージーを送るシーン

Tim: We’re all traveling through time together, every day of our lives.

ティム:みんな一緒に時間旅行をしているんだ。毎日ね。

All we can do is do our best to relish this remarkable ride. 

できることと言えば、この素晴らしい旅行を楽しむために最善を尽くすことだ。 

relish: 〜に味をつける、〜をおいしく食べる 

remarkable: 注目すべき、非凡な、珍しい 

最初の文でtraveling(旅行)と言っているので、最後のrideは時間旅行に出かけるための乗り物だと言うことがわかります。 

毎日ダラダラしてしまいがちですが、限られた時間をもっと有効に使わなくてはいけないなと思う場面です。子供が小さな時は、毎日の家事と育児に必死で楽しむ余裕がなかったけれど今の気持ちであの時に戻ってみたいなと思います。

まとめ 

タイムトラベルを使って過去に戻ったとしても、気が合うか合わないかまでは変えられません。

相手の気持ちは変わらないので最初に告白したシャーロットには、タイムトラベルしてやり直しても結局振られてしまいました。

ちょっとした失敗は過去に戻ってやり直せます。しかし結局人生に影響するような決断は、やりなおしたとしても変わらないのです。 

人生には晴れの日ばかりではなく、雨が降ったり嵐になったりすることもあるけれど、だからこそ素晴らしいのだと気づかせてくれる作品です。 

結婚式でイル・モンドの曲をかけたり、新婦が赤いドレスを来たりと言った個性的なウェディングが素敵です。そして裁判のシーンでは、裁判官や弁護士がカツラをかぶっています。昔オーストラリアで見たニュースでも、裁判で弁護士がカツラをかぶっていて面白いと思ったのを思い出しました。映画だとなぜかあんまり違和感を感じなかったのですが、考えてみるとなんともシュールな場面です。伝統を重んじるお国柄ならではでしょう。 

最初私は飛行機の中でこの映画を見て、後半とても感動したのを覚えています。今回改めて見直してみて、覚えていなかった部分も多く新たな気持ちで楽しめました。 

また何年か後に見直したら違った視点で楽しめそうな映画だと思います。アメリカ人のメアリー以外はイギリス英語なので、イギリス英語のアクセントに慣れるのにも良いと思います。 

最後に予告編をどうぞ!

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