Gifted

作品紹介 

Giftedは2017年のアメリカ映画。 

フロリダでボートを修理する仕事をしながら、数学が得意な姪のメアリーを育てているフランク。メアリーは小学校では簡単すぎる算数の授業を行うことや、友達ができるかといった不安から最初は学校に行くのを嫌がります。しかし片目の飼い猫フレッドをクラスで紹介したことをきっかけに、クラスにもなじんできたメアリー。数学の才能があることが担任の先生や校長に知られると、上級生を殴って鼻の骨を折ってしまう問題を起こしたときに、英才教育を行う私立学校への転校を勧められることに。 

私立学校にはイヤな思い出があるフランクは校長の提案を断りますが、果たして自分の決断が正しいかどうかについては自信がありません。 

校長はメアリーの祖母でありフランクの母親のイブリンに連絡。イブリンはメアリーを私立学校に通わせたいので、祖母と叔父でメアリーの養育権を争うことに。 

メアリーの母親ダイアン(フランクの姉)は、Gifted用の学校を卒業。数学の天才として「数学の7大難問」の1つである「ナヴィエ-ストークス方程式」の解明に取り組んでいました。しかしメアリーが生後6ヶ月の時に自殺。フランクがメアリーを引き取りました。 

ダイアンは数学漬けで普通の子供時代を過ごせなかったため、メアリーには普通の生活を望んでいるはず…。フランクはダイアンの遺志を叶えてあげたいと思っています。

才能ある子供には、どんな環境を与えるのが良いのか?を考えさせられる作品です。 

監督・キャスト紹介 

監督

マーク・ウェブ(Marc Webb)。主な作品は2009年の「500日のサマー」。 

役名俳優主な出演作など
フランク・アドラー
Frank Adler
クリス・エバンス
Chris Evans
2011年
「キャプテン・アメリカ」
メアリー・アドラー
Mary Adler
マッケナ・グレイス
Mckenna Grace
イブリン・アドラー
Evelyn Adler
リンゼイ・ダンカン
Lindsay Duncan
2013年「アバウト・タイム」
主人公ティムの母親役
ロベルタ・テイラー
Roberta Taylor
(フランクとメアリーの隣人)
オクタビア・スペンサー
Octavia Spencer
2017年
「シェイプ・オブ・ウォーター」

セリフ紹介 

メアリーが学校に行きたくないというシーン①

Frank:Well, I don’t wanna go to work. But I do. 

フランク:俺だって仕事に行きたくないけど、行くだろ。 

Mary:You don’t go to work.

メアリー:仕事に行くのとは違う。

You fix the boats on the dock. 

波止場で船の修理をするだけなんだから。 

Frank:Okay. It’s a poor example, but you’re still going. 

フランク:例が悪かったけど(学校に)行くことに変わりはない。 

  「a bad example」でなく「a poor example」と言っています。両方「悪い例」ということですが、poorだと「下手な」と言った意味合いが含まれます。badだと真似してはいけないような悪いことといった感じです。 

メアリーが学校に行きたくないというシーン② 「ad nauseum」

Frank: We’ve discussed ad nauseam. 

フランク:散々話し合っただろ。 

Mary: What’s ad nauseum. 

メアリー:散々って何? 

Frank: Oh, you don’t know? 

フランク:知らないのか? 

Mary: Well, looks like someone needs school. 

メアリー:じゃあ学校に行かなきゃな。 

ad nauseumは「飽き飽きするほどに」という意味です。字幕では「入念に」となっていました。最後の文はlooks like〜「〜みたいだ」と someone needs school「誰かに学校が必要」で「誰かさんには学校が必要みたいだ→学校に行かなきゃな」としました。 

メアリーと仲良しのロベルタが、メアリーの通学を心配するシーン

Frank:  You know, there’s something you could be overlooking. 

フランク:気付いてないことがあるかも。

This could work out. 

うまくいくよ。 

Roberta: Maybe.

ロベルタ:かもね。

But if anybody takes that baby away, I’ll smother you in your sleep. 

でも誰かにあの子をうばわれたら、寝ている間に窒息させてやる。 

overlook: 見逃す、見過ごす 

work out:うまくいく 

take away:取り上げる 

smother:窒息死させる 

in one’s: sleep:寝ている間に 

This could work out.のcouldは「可能性がある」という意味です。うまく行かない可能性もありますが、フランクのうまくいってほしいという希望が込められています。 

there’s something you could be overlooking は、メアリーが学校になじめるか心配しているロベルタを安心させるためのセリフ。。 

学校のことをグチるメアリーへのフランクのセリフ 「passive-agressively」

I’m sorry. I’m still passive-agressively ignoring you. 

悪いけど、まだ無視するよ。 

passive-agressiveは「怒りを表に出さずに、仲良くしたくないのを態度に出すこと」です。 

フランクはメアリーが登校初日に校長先生に怒鳴ったことを怒っていて、静かにまだ許していないことを伝えています。

学校での態度を反省するメアリーのセリフ

screwed up

失敗した。 

screwed upは「やっちまった、下手こいた」といったニュアンスです。 

猫のフレッドに対するメアリーのセリフ

メアリーとフランクはフレッドを連れてボートに乗り、ビーチへ出かけます。

Fred loves to watch sandpipers.

フレッドはシギを見るのが好きなの。

He thinks he’d like to catch one, but he’d regret it. 

捕まえたいと思っているけど、捕まえたら後悔するわ。

Fred’s not a killer Fred’s a lover

殺すより愛するのがフレッドよ。 

sandpiper: シギ 

フレッドはメアリーが飼っている片目の猫。メアリーのフレッドに対する愛がわかるセリフです。 

メアリーのセリフ。学校で隣の列の同級生に。 

Get a hold of yourself

しっかりしなさいよ。 

Get hold of yourself.で「しっかりしなさい」という意味です。似てないかもしれませんが、この表現で思い出した「pull yourself together」は動揺したり怒った後、冷静になる」ことです。ヘラヘラしている感じの男の子に向けて言っています。 

クラス発表「Show and Tell」で、猫のフレッドを紹介するメアリーのセリフ

For my show-and tell, I have the most awesome cat in the history of time.

私は「ショー・アンド・テル」に、これまでの歴史上で最もかっこいい猫を連れてきました。

Not only is his name Fred, but… he has just one eye. 

名前がフレッドなだけでなく、目が1つだけなんです。 

Show-and-Tellは海外で行われていて、家から何かを持っていきそれについてみんなの前で説明することで、発表のスキルを身につけるという教育方法。 

メアリーの子どもらしいところが出ているシーンです。 

メアリーの担任ボニーとフランクの会話

ボニーはメアリーがフランクの娘ではなく姪だと知って、フランクに会いにバーに行きます。 

Bonnie: You lied to me. 

ボニー:嘘ついたわね。 

Frank: Okay. Can you narrow it down

フランク:わかった。具体的には? 

narrow downは「必要のないものを省いて減らしていくこと。嘘ついたというのは「具体的になんのことか」を聞いているのです。 

特にメアリーが娘だとは言っていないので「technically Frank didn’t lie to Bonnie」な訳ですが。。 

メアリーが上級生の鼻の骨を折ったので、フランクが校長に呼び出されます。 

Principal: How do we resolve this?

校長:どうやって解決しましょう?

You know she could be expelled. 

退学になってもおかしくないんですよ。 

Frank: God. I hope not.

But if every first-time offender was expelled, I guess fair is fair. 

フランク:退学じゃないといいけど。

でも初めて暴力を振るった子どもがみんな退学ということなら、公正ではありますね。 

Principal: Are you gonna take this seriously? 

校長:この事態を深刻に受け止めてます? 

Frank: You don’t bluff me, I don’t bluff you. 

フランク:脅されなければ、私もちゃんと答えます。 

Bluffは「本当はする気もないのに何かをしようとしていると思わせたり、知識がないことをあるように思わせたり、誰か違う人だと思わせたりして誰かを騙すこと」です。  

メアリーが通う学校の校長のセリフ

校長はメアリーの数学の能力を知り、gifted用の私立校に転校させることを提案します。

私立校に転校させることを学費が高いからと断ったフランクに…

Mr.Adler. I can get your daughter a scholarship. 

アドラーさん。娘さんには奨学金を準備します。

Full ride

全額支給です。 

scholarshipは奨学金。get~scholarshipで「〜に奨学金を取る→奨学金を準備します」 

a full rideは「学力の高い学生のために学校が学業にかかるお金を全て支払うこと」です。口語なので「a」は省略されています。分かりやすく言うと「授業料全額免除」ですね。 

フランクとイブリンの会話①(海辺のレストランで)

フランクがボート修理で日焼けしているので、イブリンは日焼け止めを塗っていないのかと勘違いしたようです。

Evelyn: They don’t sell sunscreen here? 

イブリン:ここでは日焼け止め売ってないの? 

Frank: I wear sunscreen. 

フランク:日焼け止めは塗ってるよ。 

「日焼け止めを塗る」場合の動詞にwearを使っています。「put on」と「 apply」も同様に使えます。 

イブリンとフランクの会話②(海辺のレストランで) 

Evelyn: You’re still stubborn and vindictive

イブリン:まだ頑固で根に持ってるのね。 

Frank: Careful Mother.

There’s an apple and tree analogy lurking

フランク:気をつけて。

蛙の子は蛙ってことだ。 

carefulは「言葉に気をつけて」ということです。

次の文は「りんごはりんごの木の近くにしか落ちないので→りんごの木とりんごの類似性はなかなかなくならない→どこまで行っても蛙の子は蛙ってことだ」 

stubborn:頑固な 

vindictive:復讐心のある、懲罰的な(過去に傷つけられたと思っている人に対して、傷つけたい気持ちがある) 

an apple and tree analogy:リンゴとリンゴの木の類似 

lurk: 潜んでいる、なかなかなくならない(しぶとく残っている) 

夕日の見える場所でのメアリーとフランクの会話。 

Mary: Is there a God? 

メアリー:神様っているの? 

Frank: I don’t know. 

フランク:知らない。 

Mary: Just tell me. 

メアリー:教えてよ。 

Frank: I would if I could. But I don’t know, and neither does anybody else. 

フランク:知ってれば教えるけど、知らないし、他の誰も知らない。 

Mary: Roberta knows. 

メアリー:ロベルタは知ってるよ。 

Frank: No.

Roberta has faith, and that’s a great thing to have.

フランク:違う。

ロベルタは信仰心があるんだ。それは素敵なことなんだけど

But faiths about what you think, feel.

Not what you know. 

信仰心っていうのは自分が思ったり感じたりすることだ。

知っていることとは違う。 

Mary: What about Jesus. 

メアリー:イエス様はどうなの? 

Frank: Love that guy. Do what he says. 

フランク:好きだよ。彼の言う通りにしようと思う。

Mary: But is he God? 

メアリー:でも彼が神様なんでしょう?

Frank: I don’t know. I have an opinion.

フランク:分からない。自分の意見はある。

But that’s my opinion. I could be wrong.

でもそれは俺の意見だ。間違ってるかもしれない。

So why would I screw up yours

だから間違わせてしまうようなことは言わない。

Use your head.

自分で考えるんだ。

But don’t be afraid to believe in things either. 

だけど信じることを恐れてもいけない。 

黄色の部分は「なんでお前の意見を間違わせてしまうんだ?→間違わせてしまうようなことは言わない」wouldの仮定法で「間違わせるなんてありえない」と言っています。 

丸暗記したくなるようなシーンです。子供の頃にこんなことを教えてくれる大人がいたらなぁと今更ながらに思います。

メアリーの担任ボニーとフランクの会話(バーで飲みながら )

Bonnie: What’s your greatest fear? 

ボニー:一番怖いことは? 

Frank: That’s a change of tone. 

フランク:今までの質問と違うな。 

Bonnie: Yep. I’m a really serious person. 

ボニー:そう。私は本当に真面目な人なの。 

Frank: Okay. Okay. 

フランク:わかった。 

Bonnie: Look, If it’s too much, you can just drink your drink… and live with the fact that you’re afraid. 

ボニー:ねえ、もし質問が重すぎたらお酒を飲めばいいから。そして怖がった事実と共に生きるのね。 

Frank: No. I can handle this.

That I’ll ruin Mary’s life. 

フランク:いや。大丈夫。

メアリーの人生を台無しにしてしまうことだな。 

フランクの最初のセリフの「tone」は「音色」です。「音色が変わった→話の調子(内容)が変わった→今までの質問と違うな」としました。 

「Yep」(ヤップ)はカジュアルな表現で「Yes」のことです。「too much」は「more than someone can deal with人が対処できるより多く」で「キャパを超える」感じです。 

「handle」は「〜を扱う、対処する」で「この質問に対処することができる→大丈夫」。最後の文はThatで始まっています。このThatの前には「My greatest fear is」が省略されています。「ruin」は「破滅させる、台無しにする」。 

メアリーのセリフ。ソーシャルワーカーとの面談で。

裁判所命令を受け児童相談所のような所へ行き、現在のフランクとの生活状況をソーシャルワーカーに話すメアリー。

Mary: He wanted me before I was smart

メアリー:私が賢いってわかる前から一緒にいてくれた。 

「want」は「欲する」なので、賢い前から欲しがっていた→賢いってわかる前から一緒にいたいと思ってくれていた→賢いってわかる前から一緒にいてくれた。 

数学の天才でなく、姉の子供としてメアリーを愛するフランク。イブリンはメアリーが天才だと分かってから会いに来たので、愛情の違いを感じているのだと思います。

フランクはうざいこともあるけど、いい人だと思う

裁判期間中にイブリンを車まで送るフランク。 

Evelyn: I have no desire to hurt you.

イブリン:傷つけるつもりはないの。

I hate it that we’re at odds. 

対立するのは辛いわ。 

Frank: We’re always at odds. 

フランク:いつも対立してるよ。 

「be at odd」は「to disagree」と同じ意味で「意見が異なる」です。 

「I hate it〜」で「〜するのは嫌だ」 

フランクのセリフ(裁判の証人席で)

Diane wanted Mary to be a kid.

ダイアンはメアリーに子どもでいて欲しかったはず。

She wanted her to have a life.

普通の生活をして…

She wanted her to have friends… and to play… and to be happy. 

友達を作って…遊んで…幸せな。 

ダイアンは数学ばかりで普通の子供のように遊べなかったので、メアリーには自分が経験できなかったことをさせてあげたいと思っているのではないかと思うフランク。 

「have a life」は「充実した(満足した)生活を送る」ということ。反対の「I have no life.」で「思うような人生を過ごせていない」という意味です。TVドラマの「フレンズ」でジョーイが誰かに自分の出演しているドラマを見ているか聞かれて「I have a life.」と答えていました。「そんなことしてる暇ないよ」と言った意味で、自分が出演しているドラマにそれほど価値がないと思っていることに… 

まとめ 

普通の家庭にGifted(天才的な)子供が生まれたら、親は自分よりもいい学校に行ってほしい、そして才能を伸ばしてほしいと思うのではないでしょうか? 

日本では、高校に2年以上在籍した17歳以上の人には大学入学資格が認められています。 

海外の飛び級のように何年も先に飛ぶのではなく1年だけですし、義務教育の間はみんな一緒に入学して卒業するのが当たり前です。画一的な教育は個人の才能を伸ばせないのかもしれません。しかし中学や高校では先輩・後輩といった上下関係があり、部活を通して学ぶ礼儀なども社会に出てからも役に立っている人が多いはず。簡単すぎる授業には飽きてしまうかもしれませんが、優秀だからといって勉強ばかりしている生活は楽しくなさそうですよね。 

どのような教育を受けさせるかは、国の制度によって自分で選べない部分もあります。しかし義務教育や大学までの学生生活の期間だけでなく、大人になってからも学び続けることはできます。私もまだまだ新しいことを学んでいきたいと思います。 

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