About a Boy

作品紹介 

アバウト・ア・ボーイ「About a Boy」は2002年のロマンチック・コメディ映画です。アカデミー賞・脚色賞にノミネート。 

主人公のウィルは38歳で独身。妹は結婚して2人の子供をもうけていますが、ウィルは結婚に興味がなく、デートをしても真剣な交際はしたくないため女性には恨まれてばかり。親の遺産でお金にも不自由しないため、毎日を30分のユニット単位で考えて行動する気ままな1人暮らしをしています。 

シングルマザーは子供の世話などで忙しいため深く付き合わなくて済むと思ったウィルは、デートの相手を見つけるためにシングル・ペアレンツの会「SPAT(Single Parents Alone Together)」に参加します。 

そこでスージーと出会い、子供と一緒にピクニックに行くイベントに参加することにします。当日迎えに行くと、体調が悪くて参加できない母親の子供マーカスも一緒にいくことに。ウィル、スージー、スージーの子供、そしてマーカスは公園で過ごします。マーカスを送ると家の中ではマーカスの母親が自殺を図っていました。無事に退院し肉体的には回復しても、母が再び自殺を図るのではないかと心配するマーカス。 

家族が2人だけでは足りないと感じたマーカスは、ウィルと母親が結婚すればいいのではと考え、ウィルの家に通うようになります。 
マーカスと出会って交流していく中で、少しずつ変化するウィルが描かれた作品です。 

監督・キャスト紹介 

監督 

監督はクリス・ワイツ(Chris Weitz)と ポーツ・ワイツ(Paul Weitz)の2人です。

キャスト 

役名俳優主な作品など
ウィル・フリーマン
Will Freeman
ヒュー・グラント
Hugh grant
1999年「ノッティングヒルの恋人」
1994年「フォー・ウェディング」
(英国アカデミー賞 主演男優賞受賞)
マーカス 
Marcus
ニコラス・ホルト
Nicholas Hoult 
フィオナ 
Fiona
トニ・コレット
Toni Collette 
マーカスの母親役
レイチェル 
Rachel
レイチェル・ワイズ 
Rachel Weisz 
2006年「ナイロビの蜂」
(アカデミー賞 助演女優賞受賞)

セリフ紹介 

Bloody hell. まいったな

ウィルと妹のクリスティンの会話に「bloody hell」という言葉が出てきます。クリスティンは結婚して2人の子持ち。いつまでも結婚しないウィルが心配で…

Christine: You’re 38 and you’ve never had a job… 
クリスティン:38歳で働いたことがない 

…or a relationship that lasted longer than two months. 
それに恋愛も2ヶ月以上続かない 

I wouldn’t exactly say you were okay. 
これでいいと思えないわ 

I mean, I would say you were a disaster. 
っていうか、悲惨よ 

I mean, what’s the point of your life? 
ねえ 人生の目的は何? 

Will: Bloody hell. 
まいったな 

 最初の文の”or a relationship”の”or” と”a relationship”の間には 1行目と同じ”never had”が省略されています。「2ヶ月より長く恋愛したこともない」と言うことです。
wouldn’t exactly say〜:正確には〜とは言わないだろう 

クリスティンは文の始めに”I mean”をつけるのがクセのようです。大した意味はないので「っていうか・ねえ」と訳しました。字幕だと字数制限もあるので訳されていません。

disaster:大惨事 
bloody hell.:ちくしょう、まったくもう(イギリスのスラング) 
bloody hellはイギリスが舞台の映画ならではの表現です。アメリカ英語ばかり聞いていて、全く知らない用法や言葉が出てきたりするのもイギリス英語の楽しみの一つと思います。

hidden depth のないウィルは shallow

妹のクリスティンに姪っ子のゴッドファーザーになることを依頼されたのに、断るウィル。

Christine: We know, I just thought you had hidden depths
クリスティン:兄さんには隠された深みがあると思ってたの 

Will: No. No. You’ve always had that wrong
ウィル:いや、違う。いつも間違えてる 

I really am this shallow
僕は本当に薄っぺらいんだ

 We knowは最初につけるあまり意味のない言葉なので訳出していません。 

「hide」(隠す)の過去分詞が「hidden」(隠された)です。 
“had that wrong”の部分は聞いたら分かっても、自分ではなかなか出てこない表現だなと思います。”that”は「ウィルの人格(隠された深みがあること)」を指していて、自分に対する評価が”間違っている”と言う事です。
shallow:浅い、薄っぺらな 

シングルマザーのアンジーとのシーン

Will: I came to realize that with single mums… particularly ones who’d been badly treated… and eventually abandoned by the father of their children, you became by comparison 
ウィル:分かった事がある。シングルマザーは…特にひどい扱いを受けていた場合…そして最終的に子供の父親に捨てられていた場合、彼と比べることで 

Angie: You are a wonderful person. 
素晴らしい人間だと思われる。 

particularly:著しく 
badly:ひどく、悪く 
treat:扱う 
eventually:最終的に 
abandon:見捨てる 
comparison:比較、対照 

話し言葉は話をしている順番に理解していくといいです。
with single moms「シングルマザーと一緒にいると」
全体で見るとwith single mums, you are a wonderful person.のmums と,youの間にparticularly~comparisonまでが入っていて、アンジーのセリフまでを一文と捉える事ができます。

マーカスの母親が運ばれている救急車を追走するウィル 

SPAT (Single Parents Alone Together)でピクニックした後、マーカスを送ると家の中ではマーカスの母親が倒れていました。 

It was horrible. Horrible. 
恐ろしかった。ひどい 

But driving fast behind the ambulance was fantastic. 
でも救急車の後ろについてスピードが出せるのは素敵だ 

horrible: 恐ろしい、ひどい
ambulance: 救急車
driving fast behind the ambulance が主語で「救急車の後ろでスピードを出してドライブすること」

マーカスの母フィオナは朝から泣くほどのうつ状態でした。マーカスがピクニックに行っている間に自殺を図ったフィオナ。さすがにウィルも声に出してファンタスティックと言える状況ではないので、ここのセリフはウィルの心の声です。母親のそんな姿を見たマーカスのショックは計り知れません。

A person’s life is like a TV show. 人生はテレビ番組みたいなもの

フィオナが自殺未遂した夜…ウィルの心の声 

The thing is, a person’s life is like a TV show. I was the star of The Will Show. 
つまり、人生はテレビ番組みたいなもんだ 俺は「ウィル・ショー」に主演する

And The Will Show wasn’t ensamble drama. Guests came and went, but I was the regular. It came down to me, and me alone. 
そして「ウィル・ショー」は共演者のいるドラマじゃないゲストが来ては去る。でも俺はレギュラーだ。 結局俺ってことだ。俺ひとり。

ensemble: 合奏団、 
come down to〜:結局〜になる 
〜alone:ただ〜だけ 

ウィルは自分の番組に共演者がいないことを悲しんでいるわけではありません。深く関わる人がいないので、自分以外はゲストやエキストラと考えるウィル。フィオナにはフィオナの番組があるので、自殺未遂も自分には関係のない出来事だと思っています。

フィオナとマーカスの会話 (enoughの用法)

フィオナが退院。マーカスは母親がまた自殺を図るかもしれないと心配しています。

Fiona: We have to look after. 
フィオナ:お互いに面倒見ないと 

The two of us. 
2人だけだから 

Marcus: Suddenly I realized two people isn’t enough. 
マーカス:急に2人じゃ足りないと気付いた 

You need a backup. 
バックアップが必要だ 

If you’re only two people, and someone drops off the edge… 
2人だけだと、そしてどっちかが道を踏み外したら 

… then you’re on your own. 
自分だけになる 

Two isn’t a large enough number. 
2人じゃ足りない 

enough は「十分な、十分に」といった意味で 
I have enough money to buy that dress. 
あのドレスを買うのに十分なお金を持っている
It’s long enough to tie back. 
(髪を)後ろで結ぶために十分に長い→(髪を)後ろで結ぶのに十分な長さだ
That’s enough.
もう十分だ(いらない)
のように使います。
drop off the edge:端から落ちる 

シングルペアレントの家庭で兄弟がいないと家族は2人だけに。親1人、小1人でも楽しく暮らしている家庭もあると思いますが、マーカスの場合はフィオナがうつ気味なので心配しています。

depression-free life とは?

ボランティアをするにも意味を見出さないとできず、人との関わりを持たないウィルのセリフにdepression-free lifeという表現が出てきます。

Me, I didn’t mean anything, about anything, to anyone. 
俺には何の意味もないし、何に対しても誰に対しても意味のある存在じゃないんだ。 

I knew that guaranteed me a long, depression-free life. 
長く、落ち込むことのない人生が保証されたってことだ

guarantee: 保証する 
depression-free: 「-free」でfreeの前につく単語から解放されたという意味。depressionは「憂鬱」なので「憂鬱から解放された→落ち込むことのない」ということです。 

teenage-rebellionとは?

マーカスの家はベジタリアンで、マーカスは肉が食べられず不満が溜まっている状況です。

Fiona: I do the cooking and I don’t want to cook meat. 
私が料理するんだし、肉料理は作りたくないの 

You have to eat what I eat. 
私と同じものを食べるのよ 

Marcus: But you didn’t let me go to McDonald’s either. 
マーカス:でもマックにも行かせてくれないだろ 

Fiona: Is this premature teenage rebellion
フィオナ:反抗期がもう来たの? 

premature: 早すぎる 
rebellion: 反乱 

親と同じものを食べて子供が育つというのは分かるけど、肉を食べられないのはちょっとかわいそうな気もします。 

学校の上級生にいじめられるマーカスとウィルの会話 

ウィルの家の前までいじめっ子がついてきたので、マーカスがいじめられていることにウィルも気づきます。

Marcus: I just try not to think of it, that’s all… 
マーカス:ただ考えないようにするだけ… 

It happens, and I wish it didn’t, but that’s life, isn’t it? 
こうなってしまったものは、仕方ないだろ? 

There’s nothing I can do about it. 
僕にできることは何もないんだ 

Will: No. There is something we can do about it, Marcus. 
ウィル:そんなことない。何かできることはある、マーカス。 

try not to think of it 「それを考えないようにする」
try to think of it 「それを考えようとする」を否定する場合は、try と to の間に not を入れます。

it happens はいつの間にか付き合っていたとか、彼氏や彼女をなぜ好きになったのかと言った会話をするときに出てきがちな表現です。

2番目の文は直訳すると「そういうこともある(いじめが起ってしまっている)。そうなってほしくはなかったけど、それが人生だろ?」です。みんな人生嫌なこともたくさんあります。仕方ないと諦めなくてはいけない部分もありますが、どうにかできる部分はどうにかしたいものです。 

Both fingers crossed. うまくいくように願う

妹クリスティーナとのディナーでの会話に出てくるセリフです。

Will: Christine had asked me to dinner for a pep talk. 
ウィル:クリスティーナにディナーに誘われた。今の生活を変えさせるためだ。 

Christine: You will end up childless and alone. 
クリスティーナ:子供がいなくて一人ぼっちになるわよ。 

Will: Both fingers crossed, yeah. 
ウィル:そうなることを願うよ。 

Christine: You must have a lot of courage. 
クリスティーナ:すごく勇気があるのね 

Will: Why is that? 
ウィル:何で? 

Christine: Most people need something in their lives to keep them afloat… 
クリスティーナ:ほとんどの人は人生に何かが必要なのよ 

… and you have absolutely nothing. 
でも兄さんは全く何もない 

Doesn’t that scare you? 
怖くないの? 

pep talk: 励ましの言葉
(ここでは励ますためというよりも、何もせずにただ生活している兄を心配した妹が何かにやる気を出させようとしています。) 
fingers crossed: うまくいくように祈る
(人差し指と中指をクロスさせるジェスチャーをしながら言うことが多いです。ここではbothなので両手を使って、より祈りを込めています。) 
keep ~ afloat: 沈まないでいる(〜が浮かんだ状態をキープする) 
人生を沈ませないというと分かりづらいですが「世間を渡っていくために、生きていくために」と言った感じです。 

I’m a bloody Ibiza! 俺はイビサ島だ!

妹クリスティンとのディナーに、マーカスの母親とマーカスが突然現れます。
ウィルが自分を優先していると責めるマーカスの母親フィオナ。 

Will:But I’m on my own.  
だって俺は1人だ 

It’s just me and not putting myself first. 
1人だからで、自分を優先しているわけじゃない 

Because there’s nobody else. 
他に誰もいないからだ 

Fiona: Yes, there is! 
フィオナ:いるわよ! 

There’s Marcus. You’re involved now. 
マーカスが。もう関わっているんだから。 

He keeps coming around your bloody house. 
あなたの家に行ってるでしょ 

You’ve come into his life for a reason. 
マーカスの人生に関わったのには理由があるのよ 

You can’t just shut him out. 
簡単に締め出せないわ 

You can’t shut life out. 
人生もね 

“No man is an island!” 
「誰も孤島じゃないのよ!」 

Will:No, she’s not. She’s wrong! 
違う。間違ってる。 

Some men are islands. I’m a bloody island! 
孤島の男もいる。俺は孤島なんだ! 

I’m bloody Ibiza! 
イビサ島だ! 

put 〜(人) first: (人)を優先する 
involve: 関わらせる、巻き込む 
bloody: とても(イギリス英語のスラングで”bloody hell”とほぼ同じ意味の強調する語です) 
~ for a reason: 理由があって〜する、〜するには理由がある 
shut ~ out: 〜を締め出す 
Ibiza:イビサ島
(マドリードから飛行機で約1時間のスペインの島。島自体が世界遺産に登録されています。きれいな海にかわいらしい街並みが楽しめるほか、パーティーアイランドとしても有名で世界的DJが集まる大規模なクラブがあります。) 

行ってみたいですイビサ島。でもまずはバルセロナに行ってみたい。ずーっと前に「メトロポリタンジャーニー」という番組でバルセロナが紹介されていたのをみて以来、行ってみたいと思い続けています。いつか行くのを目標に頑張ります。 

Once you open your door to one person, anyone can come in. 

一度人を招き入れてしまうと、誰でも入って来れるようになってしまう。 

once〜: 一度〜すると

マーカスの家でクリスマスパーティーをした後のウィルのセリフです。
ウィルはこれまでクリスマスに招いてくれるような友達はいなかったので、いつも1人で過ごしていました。一度は断ろうと思った招待ですが、やはり寂しくなったようでパーティーに参加してみることに。するととても楽しかったのです。マーカスに心を開いたウィルは、自身の変化に気づきます。 

まとめ

お金の心配がなく気楽に過ごしてストレスはなくても、友達も恋人もいなくて誰とも関わらずに生きていたら、寂しくてたまらなくなりそうです。ウィルは寂しさは全く感じずに38歳まで生きてきたようなので、その点ではすごいと思います。 

この映画では「No man is an island.」というフレーズがキーになっています。映画の最初にボン・ジョヴィの歌の歌詞として紹介されます。検索してみたら「Santa Fe」という歌の最初に出てきました。個人的にはボン・ジョヴィの歌ではやっぱり「Livin’ On a Prayer」が一番です。 

最後に予告編をどうぞ。

  

 

          

   

 

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