作品紹介
「天使のくれた時間」は2000年のアメリカ映画で、原題は「THE FAMILY MAN」です。
ウォール街で成功し、ドアマン付きの豪華な部屋に住みフェラーリに乗るといった何不自由ない生活を送っているジャック。全てを持ち合わせていると思っていました。
ジャックはクリスマス・イブの夜、キャッシュという名の不思議な人物に出会います。彼との出会いによって13年前に別れた学生時代の恋人ケイトと結婚していた場合の生活を垣間見ることに。
初めは子供が2人いて自由な時間もなく、値段を気にしながら買い物をするような生活が嫌でしたが、その生活を通して「自分が本当に必要としていることは何だったのか」についてに気づくといった作品です。
監督・脚本・キャスト紹介
監督: Brett Ratner(ブレット・ラトナー)
脚本: David Diamond(デヴィッド・ダイアモンド)
David Weissman: (デヴィッド・ウェイスマン)
キャスト
役名 | 俳優 | 主な出演作 |
Jack Campbell ジャック・キャンベル | Nicolas Cage ニコラス・ケイジ | リービング・ラスベガス (1995年) |
Kate Raynolds/Kate Campbell ケイト・レイノルズ/ケイト・キャンベル | Téa Leoni ティア・レオーニ | ディープ・インパクト (1998年) |
Cash キャッシュ | Don Cheadle ドン・チードル | オーシャンズ11 (2001年) |
セリフ紹介
1987年ニューヨークの空港で、ロンドン行きの飛行機に乗ろうとするジャックを恋人のケイトが引き止める場面。
ジャック:君は素晴らしい法科大学院に合格した。
俺はバークレー銀行で研修。
素晴らしい計画じゃないか。
ケイト:ジャック、素晴らしいことがしたい?計画は水に流そう。
今日、この瞬間から2人の生活を始めるの。
将来どうなるかは分からないけど、
2人が一緒にいることだけは分かる。
だから一緒にいたい。
計画は素晴らしくなんかない、ジャック。
2人が一緒にいること、それが素晴らしいの。
語句の意味
accept: 受け入れる、許可する (入学を許可された→合格した)
one of the〜: 〜のひとつ
law school: 法科大学院、ロースクール
one of the best law school in the country: アメリカ国内で最も良い法科大学院の一つ
internship: 研修、インターンシップ
flush: 流す
lives: lifeの複数形
I mean: それはつまり、って言うのは(ここでは訳出していません)
ここで別れたら、一生ジャックと会えなくなってしまうと思って引き留めるケイト。しかしジャックはロンドンに行ってしまいます。1987年といえば、e-mailもまだ普及していなかった時代。手紙と電話しか連絡手段はなく、遠距離恋愛を続けるのは今よりもさらに大変そうです。
「I choose us.」というセリフは、ケイトは2人でいることを選ぶのでジャックにもロンドンに行くことよりも2人でいることを選んで欲しいと思って言った言葉です。この映画のキーワードのになっています。
キャッシュがフェラーリで現れ、ジャックが説明を求める場面
ジャック:頼む、何が起こっているのかわかりやすく教えてくれ。難しい言葉は使わずに。
キャッシュ:ちらっと見るってことだよ、ジャック。
ジャック:見る?見るって一体何を?
キャッシュ:それは自分で考えるんだな。時間はたっぷりある。
ジャック:たっぷりって?
キャッシュ:分かるまでだ。今回は例外として認めよう
語句の意味
plain: 平易な、分かりやすい
mumbo-jumbo: 何を言っているのかわからない言葉
glimpse: ちらっと見ること、一見、垣間見る
figure〜out: 〜を解決する、理解する
plenty of〜: 十分な〜
as much as〜: 〜ほど、〜だけ多く
case: 場合
considerable: 考慮すべき(考慮に値する→例外として認められる)
ジャックは朝起きたら急に今までの生活が消えてしまい、ニュージャージーにいたので戸惑っています。「glimpse」は字幕では「きらめき」と訳されていますが「きらめき」の英語は「glittering」「sparkling」などです。
「ちょっと見る」期間が大切な、きらめいたものであることから「きらめき」と訳されているのだと思います。
最後の文は「時間は好きなだけかけていい。それはお前の場合、多分考慮してもらえるだろうから。」→急に違う生活になってしまった理由を知るための時間は、分かるまで使っていい
モールでスーツを買えず、毎日の生活にも嫌気が差しているジャックが言ったセリフ
もういい。ケーキを買おう。
今週のハイライトだ
語句の意味
funnnel cake: ファンネルケーキ(生地をじょうごで流してうずまき形にし、油で揚げたお菓子で上に粉砂糖をまぶしてある。)
highlight: やま場、ハイライト
ファンネルケーキは、ちょっと形の違うドーナツといった感じのものです。
ハイライトの文は「This is」で始めたり「week」を「month」や「year」などに変えたりして使ってみたくなるフレーズです。
私は車で15分ぐらいの場所に手作りドーナツ屋さんができたので、毎週土曜日に買いに行って食べるのが最近のハイライトです。
モールでケンカした後、帰りの車の中で
ジャック:人生つまらない
ケイト:そう思いたいならね
ジャック:君はどう思うんだ?
ケイト:すばらしい成功物語
nutshell: ごく小さいもの、つまらないもの
look at it that way: 私たちの生活(it)をそんなふうに(that way)見る
最初の文は「Our life is in a nutshell.」の「is」が省略されています。ジャックは世界が狭く、ナッツの殻の中に入って生活しているような気持ちになっています。
しかし同じ状況にいるにも関わらず、ジャックとケイトでは見方が全く違い、それに伴って受け止め方も変わるものです。 自分が持っていないものを追い求めるよりも、持っているものを大切にしていきたいと思います。
結婚記念日のディナーで
ケイト:もしあなたと結婚してなかったらどんな人生だったのかって考えることもあるわ
ジャック:それで?
ケイト:そうしたら人生で確かなことが全て消えてしまうと分かったの。あなたと子どもたちよ
ジャック:家族だ
ケイト:そうね。あなたは何が確かだと思える?
ジャック:今確かなことは、君とここにいたいって事だ。
wonder about : 好奇心を持つ、どうかしらと思う
what kind of〜: どんな種類の〜
realize: 悟る、実感する
erase 〜: 〜を消去する
Good things.: 直訳すると「良いことだ」といった感じですが、ジャックと子どもたちのことを言っているので「家族だ」としました
nowhere else I’d rather be than here:ここよりも居たい場所は他のどこにもない →ここに居たい Clean Banditの曲「Rather Be」の歌詞でも「when I am with you, there’s no place I rather be」という歌詞があって、知っているフレーズがリンクすると英語がどんどん楽しくなります。MVが日本で撮影されているのも面白いですよ。
結婚していなかったら、ケイトは子どもたちもジャックもいない生活を送っていることになります。ジャックは元々1人だったところに家族が増えたわけですが、ケイトはずっと家族と一緒に過ごす人生を送ってきたので、いるはずの人がいない生活は想像するだけでつらいのでしょう。 私も今の家族がいない人生は考えられません。
マンハッタンでジャックがケイトに豪華な部屋を見せて、転職したらここに住めると言う場面
ケイト:家族で暮らす家から引っ越しさせないで あなたって…
ジャック:分からないのか?
やっと人生を手にすることができるんだぞ…人がうらやむ人生を
ケイト:ジャック。今でもうらやましがられているわよ
move us out of 〜: 私たちを〜から出て行かさないで→引越しさせないで
envy:うらやむ、ねたむ
ジャックは裕福な生活を送る人がうらやましがられると思っていますが、ケイトは裕福でなくても人がうらやむ生活をしていると思っています。お金では買えない大切な家族の存在があるからなのでしょう。
人がどう思うかよりも自分が満たされているかどうかなので、お金に替えられない価値のあるものに満たされている人は、裕福でなくても幸せを感じられるのです。 私もお金はなくても小さな幸せを見つけるようにしています。一番は自然の変化で花が咲いていたりとか、月の満ち欠けとか。
マンハッタンへ引っ越してもいいと言うケイト
愛してる。
私にとってはそれがどこに住むかよりも重要なの
一緒にいたいから
address:住所(ここでは「どこに住むか」と訳しています)
「I choose us.」→「私は私たちを選ぶ」で、ニュージャージーの家よりも、一緒にいられるならマンハッタンを選ぶと言うことです。この後もう一度大事な場面で出てきますので、本編を見て探してみてください。
まとめ
あの時、違う選択をしていたら今頃どうしていただろう。そんなふうに思うことは、誰にでもあるはずです。現状に何かしらの不満を抱えながら生きている人がほとんどだと思いますが、現実の世界では違う選択をした場合の世界を垣間見ることはできません。ジャックは幸運にも見ることができたために、現状に対する不満はなくても手に入れていない幸せがあったことに気づきました。
しかしロンドンに行かずにタイヤのセールスをして暮らしていたら、ずっと不満を抱えてこんなはずじゃなかったと思いながら過ごしていたかもしれません。どちらも経験したからこそ、自分にとって大切なものが見えたのではないかと思います。
過去に戻ってやり直すことはできなくても、今の状況でできることを考えて行動すれば、これからの未来を変えることはできると言うことを忘れないようにしたいものです。
自分が本当にしたいことにまだ気づいていない人や、理想の生活が分かっていても手に入れられない人。理想の生活を手に入れたのにそうと気づかずに手放してから気づく人など…いろんな人がいると思いますが、自分の見方次第で幸福度は変わるのだということを再認識させてくれる映画です。
クリスマス映画としてもおすすめです。
最後にオリジナルの予告編をどうぞ
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