YESTERDAY

 

作品紹介

「YESTERDAY」は、2019年のイギリス映画。 

ビートルズの音楽とともに物語が進行していく、ロマンチック・コメディです。 

舞台はロンドンの北東177km。サフォーク(Suffolk)のローストフト(lowestoft)に住むジャック・マリクは、アルバイトをしながらパブや路上で音楽活動をしています。マネージャーは、学生時代からの友達で数学教師のエル。持ち歌は「Summer Song」の一曲しかなく、いつも同じ歌ばかり。もう売れることはないと思い、音楽をあきらめて教師に戻ろうと思っていました。 

そんな時、全世界が12秒間停電します。その間に自転車で帰宅途中だったジャックは、バスと衝突。幸いにも前歯が2本なくなってしまっただけで、すぐに退院できました。しかし停電の間に、ビートルズの存在しない世の中になっていたのです。

そのためビートルズの曲を世界中に届けたいとの思いから、歌を続けることにします。 

果たして、ジャックが歌うビートルズの曲は世界に受け入れられるのか?ネタバレはしませんので、映画を見て英語表現とともに確かめてみてくださいね。 

随所にビートルズの曲が流れ、今回紹介するビートルズ関連の場面を探す楽しみもあります。ビートルズファンはもちろん、ビートルズはあまり聞いたことがないという人にも楽しめる作品です。私もシングルのヒット曲を集めた「THE  BEATLES1」というアルバムしかまともに聞いたことはありませんが、十分楽しめました。恋愛映画としてもおすすめです。 

監督紹介 

監督はDanny Boyle(ダニー・ボイル) 

ダニー・ボイルのこれまでの主な作品には、 

1996年 「トレインスポッティング」 

2008年 「スラムドック・ミリオネア」 

2017年 「トレインスポッティング2」 

などがあります。個人的にはやっぱり「トレインスポッティング」がオススメです。 

今はなきシネマライズで観たことが思い出されます。

印象的なセリフは「Choose a life.」人生を選べ

そのうち「トレインスポッティング」の記事も書こうと思います。 

キャスト紹介

主役のジャック・マリクを演じるのは、Himesh Patel(ヒメーシュ・パテル)。East Endersなどのイギリスのテレビドラマに出演していましたが、長編映画の出演はこの作品が初です。 

マネージャーのエル・アプルトンを演じるのは、Lily James(リリー・ジェームズ)。主な作品は2015年のディズニー映画「シンデレラ」のシンデレラ役。 

ほかにはEd Sheeran(エド・シーラン)が本人役で出ています。エド・シーランは、「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期」にも本人役で出演しています。 

劇中にも出てきたLiverpool Station

セリフ紹介

この作品にはビートルズの曲の歌詞やタイトルに関連するセリフが出てくる場面が、見つけられただけで5カ所あります。 

今回はそれらの部分を紹介していきます。 

ラティチュードのフェスに出演した後、帰り道でのジャックのセリフ 

This, this was my last gig. 

And I’m so happy you were there. 

This is the end of our long and winding road. 

映画「yesterday」より
ジャック
ジャック

これで最後のライブにする 

君がいてくれて良かった 

(今まで歩んできた)長く曲がりくねった道もこれで最後だ 

最初の文は「これが最後のギグだ。」→「これで最後のライブにする。」としています。

最後の文は

ビートルズの曲「The Long and Winding Road」(1970年) 

ポール・マッカートニー作 /クレジットはレノン・マッカートニー 

にかけているセリフです。 

ここでは「ジャックの音楽活動が終わりを迎えた」ということです。 

語句の意味 

gig・・・ソロやグループでのライブ演奏  

    gigといえばBOOWYを思い出します

winding・・・曲がりくねった 

事故に遭って入院しているジャックのお見舞いに来たエルとのシーン 

Elle: I’ve gotta get back to school. 

Jack: Elle? 

Elle: Yeah? 

Jack: Will you still need me, will you still feed me, when I’m 64

Elle: I don’t know. I’ll think about it. 

       Why 64? What do you mean? 

Jack:It’s just…oh, forget it. 

Elle:What do you mean, “Why 64?” 

映画「yesterday」より
エルとジャックの会話<br>
エルとジャックの会話

エル:学校に戻らなきゃ 

ジャック:エル? 

エル:何? 

ジャック:64歳になっても、まだ僕を必要としてくれる?食べさせてくれる? 

エル:分からないわ 考えとく 

   なんで64歳なの?どういうこと? 

ジャック:だって…まあいいや 

エル:何なの64歳って? 

ビートルズの曲「When I’m Sixty Four」(1967年)に出てくる歌詞がセリフとして使われています。 

ポール・マッカートニー作 /クレジットはレノン・マッカートニー 

ジャックはエルも当然ビートルズの歌詞にちなんだ話をしていることが分かると思って話しているのに、通じていません。 

語句の意味 

I‘ve gotta=I have to  

get back ・・・(どこか他の場所に行った後で元の場所に)戻る 

       「Get Back」(1969年)という曲もあります。 

ポール・マッカートニー作 /クレジットはレノン・マッカートニー 

feed・・・食べさせる、養う、食べ物を与える 

歯医者でジャックが前歯を治してもらっているシーン 

Dentist: I only coped…Clamp. 

             …with a little help from my friends

映画「Yesterday」より
歯医者
歯医者

今までやってこれたのは…クランプ…友達の支援があってのことだ 

「With a Little Help from My Friends」(1967年)より 

主にポール・マッカートニー作 /クレジットはレノン・マッカートニー 

cope with・・・(困難なことに)うまく対処する 

clamp・・・クランプ、締め具 

      文の途中で歯科治療に必要な道具の名前を言っています 

歯医者さんがビートルズの曲名を口にしています。口を固定されていて話ができないので、喜びで足をバタバタさせるジャック。 

ジャックがロスに行く前のお別れパーティーにて 

Elle: How did I get in the friend, manager, roadie column…instead of the “And I love her” column? 

映画「YESTERDAY」より
エル
エル

なんで私は友達・マネージャー・付き人のコラムに入っているの?「愛する彼女」のコラムじゃなくて… 

「And I Love Her」(1964年) 

主にポール・マッカートニー作 /クレジットはレノン・マッカートニー 

roadie・・・ツアーに出るバンドに付いていき、機材の手入れなどをする人 

      地方公演のマネージャー 

instead of・・・の代わりに 

ジャックはポストイットに曲名を書いて壁に貼っていました。そのなかのひとつ「And  I Love Her」を見て、会話の中に取り込んだエル。 

長い間ずっと一緒にいながらもジャックの彼女になれず、友達やマネージャー止まりだったことを、新聞や雑誌のコラム欄に例えているキュートな表現です。 

レコーディングでジャックがイントロのギター演奏に対して言うセリフ 

The guitar gently weep more. 

映画「YESTERDAY」より
ジャック
ジャック

ギターはもっとすすり泣かないと 

「While My Guitar Gently Weeps」(1968年) 

ジョージ・ハリスン作 

gently・・・優しく、穏やかに 

weep・・・涙を流す 

穏やかに涙を流す→すすり泣く  

よく聞くギターの音色ですが、こういう音色のことをgently weepsと言うのかと初めて知りました。良かったら映画でチェックしてみてください。 

ビートルズ関連その他 

ジャックはロスでアメリカのマネージャーであるデブラに会う時、白のTシャツと黒のベストを着ています。これはジョン・レノンとポール・マッカートニーが、アビーロードでレコーディングしていた時に着ていた組み合わせと同じ。 

他にもレコード会社でのMarketing Meeting of Meeting (マーケティング戦略最高会議)に出席するときの衣装は、ポール・マッカートニーが着ていた柄入りニットベストによく似ています。またこの会議で壁に飾ってある写真は、ジャックがカメラを持っている自分を鏡に写して撮影しています。これはポール・マッカートニーが自身を撮った写真の構図と同じです。   

リバプールを訪れた際に着ているタートルネックのセーターや、ピアホテルの屋上ライブで「Help」を歌う時に着ている青のスーツにもビートルズっぽさが満載です。 

まとめ

ジョン・レノンとポール・マッカートニーは、どちらが曲を作っても2人の連名で発表する約束をしていました。そのため、ポール・マッカートニーが作った曲でもクレジットはジョン・マッカートニーとなっています。 

映画を見るときに、ストーリーもさることながら他の見所もあるとさらに楽しめますよね。今回書ききれなかったトリビアもまだあるので、ぜひ探して見てください。 

英語のレベルとしては、中級ぐらいだと思います。難しい単語はほとんどありません。英語学習とエンタメが同時に楽しめて、ビートルズの曲がもっと聴きたくなる作品です。 

最後に、フルバージョンの予告編をどうぞ!

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