Bohemian Rhapsody

作品紹介

イギリスのロックバンドQueenのボーカル、フレディ・マーキュリー(Freddie Mercury)の伝記映画。Queenのギタリストであるブライアン・メイ、そしてドラムのロジャー・テイラーもコンサルタントとして製作に関わっています。 

1970年、空港の荷物係として働いていたフレディ。 

父親に怒られながらもパブで行われるライブを観に行き、バンドに自分を売り込みます。 BIBAというアパレルショップで働くメアリー・オースティン(Mary Austin)と恋に落ち、同年にQueenとしてバンド活動を開始。 

1年経ってもパブや大学で歌うだけであまり変化がなく、車を売却してアルバムの制作費を捻出することに。レコーディングの様子がレコード会社の人の目にとまり、メジャーデビュー。

TV出演、ツアーと次々に成功を収めるQueen。1985年にウェンブリー(Wembley)で行われたチャリティーライブ「LIVE AID」出演に至るまでの軌跡を描いた作品です。日常を忘れて、レコーディングやライブの映像とともに流れるQueenの音楽にどっぷりと浸かれます。 

途中、製作側との衝突やメンバーとの不仲、フレディの孤独な生活などもあり、Music Videoからはうかがい知れないスターの内面が分かる気がします。 

監督・キャスト紹介 

監督   Bryan Singer(ブライアン・シンガー) 

     主な作品は「X-Men」シリーズ 

脚本   Anthony McCarten(アンソニー・マクカーテン) 

     「博士と私のセオリー」(2014年)など 

キャスト 

フレディ・マーキュリーを演じるのは、Rami Malek(ラミ・マレック)。これまでの主な出演作は、映画「ナイト・ミュージアム」シリーズと、TVドラマ「MR. ROBOT」です。 

フレディの恋人メアリー役には、Lucy Boynton(ルーシー・ボイントン)。映画「ミス・ポター」(2006年)でポターの少女時代を演じたほか、「オリエント急行殺人事件」(2017年)にも出演しています。 

セリフ紹介

フレディの考え方やセリフは前向きで見習いたい部分が多いです。今回はそんな前向きになれるセリフを中心にご紹介します。 

フレディがブライアンとロジャーのバンドに自分を売り込む場面

 歯科の勉強をしていたロジャーにその歯ではダメだと言われ、フレディが返した言葉 

Freddie: I was born with four additional incisors

More space in my mouth means more range

 I’ll consider your offer

映画「Bohemian rhapsody」より
フレディ
フレディ

生まれつき歯が4本多いんだ 

過剰歯で口の中が広いから、音域も広い

(バンドに入るか)考えとく 

歯の数が多いために出っ歯になっていることを、肯定的に捉えています。

オファーされてもいないのに、された事にして自信を持っているフレディの考え方がいいと思います。 

additional…追加の 

incisors…切歯(上下の前の歯4本ずつ) 

range…範囲 

consider…よく考える 

offer… 申し出 

パブや大学で演奏していても変化がなく、車を売ってアルバムの製作費にしようとする場面 

Freddie: Trouble is, we’re just not thinking big enough. 

Bryan: What have you got in mind, Fred? 

Freddie: An album. 

John: We can’t afford an album. 

Freddie: Oh, we’ll find a way

How much do you think we can get for this van? 

Rodger: I hope you’re joking. 

フレディ:もっと大きく考えないと

ブライアン:どうする気だ?

フレディ:アルバムだ

ジョン:そんな金はない

フレディ:どうにかなる

      この車を売ったらいくらになると思う?

ロジャー:冗談だろ

お金がないからとアルバム製作をあきらめずに、車を売って資金を得ようとするフレディ。考えれば方法は見つかるのだということを教えてくれます。 

trouble is~…やっかいなのは、間違いは

afford…〜する余裕がある

フレディの家で母親がメアリーにフレディの幼い頃の写真を見せている場面 

フレディは自身の名字をマーキュリーに変更することを歌ってみんなに知らせます 

Freddie: No looking back

        Only forward

Freddie’s Father:  So now the family name’s not good enough for you? 

Freddies Mother:  It’s just a stage name. 

Freddie: It’s not. I changed it legally. Got a passport and everything.

フレディ:過去は振り返らない 

      前だけ見るんだ  

フレディの父:名字にも不満なのか?  

フレディの母:芸名よ  

フレディ:違う パスポートの名前も正式に変えた   

過去を振り返らずに、前だけを見て進むフレディの前向きな姿勢が出ています。覚えておくと、落ち込んだ時などに自分を励ませそうな言葉ですよね。 

芸名でなく正式に名前を変えてしまうのは、家族(父親)との関係がうまくいっておらず家族と決別するような印象を受けます。 お父さんが悲しむのも無理はありません。

look back…「look=見る」と「back=後ろ」で「振り返る」 

only forward…I only look forward.の「I」と「look」が省略されています 

       「only=〜だけ」 「forward=前方の」   

family name…名字 

not good enough…十分に良くない 

stage name…芸名 

legally…法的に 

pretend…〜のふりをする 

レコード会社の人に他のバンドとの違いを聞かれてフレディが答えた言葉 

We’re four misfits who don’t belong together, playing to the other misfits.

The outcasts right at the back of the room… who are pretty sure they don’t belong either. 

We belong to them.

フレディ
フレディ

この4人はお互いにも属さないはぐれ者で、他のはぐれ者のために演奏するんだ。

部屋の隅で見捨てられた…同じくどこにも属さないと思っている仲間。

彼らに属するバンドなんだ。 

自分たちがはぐれ者であるだけでなく、他のはぐれ者のために歌う。そんなQueenの姿勢が表れています。 

misfit…うまく適応できない人 、はぐれ者

belong…属する、所属する 

outcast…のけ者、追放された者 

right at the〜 … ちょうど〜(の場所)に 

back of the room…部屋の後方(隅と訳していますがbackなので直訳すれば後方です) 

pretty sure…かなり確実に 

not belong either…お互いに属さない

レディー・ガガはQueenの曲「Radio GaGa」からLady GAGAという名前をつけました。

フレディは新アルバムのテーマをオペラにしたいと言い、プロデューサーが弁護士のジム・ビーチに意見を求めます。 

Jim:Fortune favors the bold

Freddy: Surely, a man of your…unique taste…isn’t afraid of a little risk

Producer: Please don’t make me regret this. 

ジム:勇者に幸運が訪れる 

フレディ:確かに、君のような独特なセンスの持ち主は… 多少のリスクぐらい恐れないだろ 

プロデューサー:後悔させるなよ 

fortune…運、幸運 

favor…〜に味方する  

bold…大胆な、果敢な、勇気のある 

unique…唯一の、独特の 

taste…好み 

make someone regret…(人を)後悔させる 

ジャンルにこだわらず、自身のアルバムに似ていない全く新しいアルバムを作成しようとするクイーン。オペラなど誰も聞かないと言われますが、失敗を恐れずに新しいことに挑戦する姿は見習いたいものです。 

ボヘミアン・ラプソディはヘッドバンギング向きでなく「I’m in love with My Car」をシングルにしようとプロデューサーが提案する場面 

Well, that’s the kind of song… teenagers can crank up the volume in their car… and bang their heads to

Bohemian Rhapsody will never be that song. 

こういう曲だよ…

若者が車の中でボリュームを上げて、ヘッドバンギングできるのは 

ボヘミアン・ラプソディは、そんな曲になることはない 

オースティンパワーズのマイク・マイヤーズがプロデューサー役として出演。 

映画「Wayne’s World」(1992年)では、マイク・マイヤーズが車の中でボヘミアン・ラプソディをかけてヘッドバンギングしているシーンがあります。この映画のプロデューサーも当時人気のあったガンズ・アンド・ローゼズにしたいとの意向でしたが、マイク・マイヤーズがボヘミアン・ラプソディで行きたいとスタジオ側と戦いました。 

crank up the volume…ボリュームを上げる 

bang their head’s to〜 … 〜に彼らの頭を振る(to以下は最初のThat’s the kind of songと繋がります)

フレディーがバンドをやり直したいと思い、メンバーに連絡してほしいとマネージャーに電話で頼む場面 

Freddie: I need to reconnect with the mothership

Jim: Freddie, they don’t want anything to do with you. 

       They’re still very upset. 

Freddie: Maybe if you ask them… they would meet me.

Tell them I want to talk. Just talk.

We’re family.

You know, family… have fights… all the time.

フレディ:もう一度母船とつながりたいんだ   

ジム:フレディ、メンバーはもう君と関わる気はない 

   まだ怒っているんだ 

フレディ:君から頼めば…会ってくれるかも。

話したいんだ。話すだけ。

家族だから。

家族ならケンカもしょっちゅうするだろ。 

再びバンド活動をしたいということを、バンドを母船に例えて表現しています。 

reconnect… 再結合する 

mothership… 母船 

not want anything to do with〜 … 〜と関わりたくない   

upset… 動揺した 

all the time… 常に 

エイズをメンバーに打ち明ける場面 

Freddie: So, please…if any of you…fuss about it or frown about it, or, worst of all… if you bore me with your sympathy… that’s just seconds wasted.

Seconds that could be used making music…which is all I want to do with the time I have left. 

I don’t have time to be their victim… their AIDS poster boy, their cautionary tale.

No. I decide who I am

I’m going to be what I was born to be. A performer… who gives the people what they want. Touch the heavens. 

フレディー<br>
フレディー

頼むから…誰も…騒いだり眉をひそめたり…最悪なのは…同情して俺をうんざりさせたりしないでほしい。そんなのは時間のムダでしかない。

音楽を作るために使えた時間(がムダになる)…残された時間でしたいことは音楽だけ。

AIDSの被害者になっている場合じゃない。AIDSのポスターや、教訓にもなりたくない。

自分が何者かは自分で決める

生まれながらになるべきだった人になる。

パフォーマーだ。みんなが欲しい物を与える人。

最高の天国を 

フレディはエイズになっても、同情されるより音楽活動を通じて人々に与えたい。治らない病気にかかってしまったことに絶望せず、最後まで音楽がしたいというのは根っからのパフォーマーですね。Queenの音楽に元気づけられている人は今でもたくさんいるので、フレディの想いは叶っていると言えます。 

fuss… 大騒ぎ 

frown… 眉をひそめること 

worst of all… なかでも最悪なのが 

bore〜with… 〜をうんざりさせる 

sympathy… 同情 

second… 秒 

wasted… むだになった 

all I want to do is〜 … 私がしたいのは〜だけだ  

victim… 被害者 

cautionary tale… 訓話 

tale… 物語  

be born to〜 … 生まれながらに〜  

フレディ・マーキュリー役のラミ・マレックはアカデミー賞の主演男優賞を受賞。

まとめ 

私は映画を見るまで曲は聞いたことがあっても、Queenというバンドの成り立ちやボーカルのフレディ・マーキュリーの生き方は全く知りませんでした。Bohemian Rhapsodyは伝記映画ですが、事実と異なる描き方がされている部分があります。フレディ・マーキュリーがエイズと診断されたのは1987年。Live Aidが行われた1985年当時のパフォーマンスは、エイズだと知らずに行っていたのです。 

劇中で使われている歌声は、フレディ・マーキュリー本人、主演のラミ・マレック、マーク・マーテルの3人のものです。どの歌声も素晴らしく、区別がつきません(私は)。 

トリビアをひとつ。Queenの2枚目のアルバム、「QueenⅡ」のジャケットとボヘミアン・ラプソディのMVの中では、4人が上を向いて上からライトを当てられています。これはMarlene Dietrichのポートレイトの構図をまねたもので、劇中に彼女のポスターも登場しますので探してみてください。 

スターは華やかな世界にいるからこそ、1人でいる時に深い孤独を感じるのかもしれません。フレディには、亡くなる前まで一緒に過ごせるジム・ハットンという恋人がいました。 

楽曲は日本でもドラマやCMにたびたび使用されているため、映画を見たら聞いたことのある曲が多いことと思います。 

オリジナル・アルバム15枚、ライブ・アルバム10枚をリリースしているQueen。コンプリートするのは大変なので、ベスト盤から聴いてみるのがオススメです。

最後にTrailer(予告編)をどうぞ 

ちなみに昔は映画を見終わった後に、次のおすすめ映画として予告編を上映していたので自動車に牽引されるトレーラーと同じイメージで予告編のことをTrailerといいます。

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