Spider-Man : Into the Spider-Verse

今週末ベノム見る?スパイダーバースの特別な先行上映は最後まで見逃せない

作品紹介

スパイダーマン:スパイダーバースは、2018年のアメリカ映画です。 

2019年のアカデミー賞で長編アニメーション賞を受賞しました。 

原題は、「Spider-Man : Into the Spider-Verse」です。「Verse」は劇中で出てくる「multiverse」という単語の意味「多元的宇宙・単一の秩序や原理のない世界」から来ています。多元的宇宙とは次元がたくさんあり「地球のある宇宙はいくつもの宇宙がある中の一つである」ということです。別の次元からスパイダーピープルたちが集まってくる話であることを表しています。 

主人公のマイルス・モラレスはブルックリン在住。地元の高校から進学校に転校し、平日は寮で過ごし週末だけ家に帰る生活を送っています。父親の兄の叔父さんとは仲良しですが、警察官である父親とはあまり打ち解けられません。

放射能を浴びたクモに刺されて体に変化を感じる中、スパイダーマンであるピーター・パーカーと出会うマイルス。しかしピーターはマイルスの目の前でキングピンに殺されてしまいます。死ぬ前に加速器で別の次元の宇宙を5つ開いたキングピン。加速器が再び使用されると、別の次元からきたスパイダーピープルたちが全員が死んでしまうため、マイルスはピーターから預ったキーを使って加速器を壊してニューヨークを救うと約束します。 

別の次元から集まってきたスパイダーピープル(うち1人は実際には一匹でブタ)は、それぞれの次元から1人ずつなので計5人(下の表)です。 

ピーター・B・パーカーマイルズのいる世界のスパイダーマンよりも10歳以上年上
グウェン・ステイシースパイダーウーマン
スパイダーマン・ノワール白黒。1933年のスパイダーマン。
ペニー・パーカー日本の女子高生のような3145年の女の子。
父親のロボットの中で暮らすクモが親友
スパイダー・ハムピーターという名前のクモでしたが、放射能を浴びたブタに似た動物(May Porker)に噛まれ、ブタの姿をしたクモのピーター・ポーカーになりました。
スパイダーバースに出てくるスパイダーピープルたち

スパイダーピープル5人の細胞は、マイルズの暮らす地球にいると徐々に崩壊していくため、早く元の次元に戻らないと死んでしまいます。 

5人を元の次元に帰して世界を救うために、マイルスは加速器を壊すことができるのか!? 

クモに噛まれた後のマイルスが話す言葉は、アメコミのような吹き出しで出てきます。画面がコマ割りされたり、スクリーントーンを貼ったような味のある場面があったりと、CGでありながらアナログのコミックとアニメを同時に楽しんでいるような感覚になれます。 

実写版のスパイダーマンシリーズとも少し違うので、ピーター・パーカーが自己紹介する場面を実写版の出来事と見比べてみて違いを探すといった楽しみ方もできます。メイおばさんのキャラも、実写版との違いが面白いです。 

監督・脚本・声優紹介

監督ボブ・ペルシケッティ(Bob Persichetti)
ピーター・ラムジー(Peter Ramsey)
ロドニー・ロスマン(Rodney Rothman)
脚本フェル・ロード(Phil Lord)
ロドニー・ロスマン(Rodney Rothman)

 マイルス・モラレス(Miles Morales)の声は、映画「カット・スロート・シティ」(2020年)などに出演のシャメイク・ムーア(Shameik Moore)です。

スパイダー・ノワールの声は、オスカー俳優ニコラス・ケイジ(Nicolas Cage)。 

セリフ紹介 

冒頭でスパイダーマンが自己紹介する場面 

Peter: Alright, let’s do this one last time.

My name is Peter Parker.

I was bitten by a radioactive spider and for ten years I’ve been the one and only Spider-Man. 

I’m pretty sure you know the rest. 

Uncle Ben: With great power comes great responsibility. 

ピーター:よし、もう一度だけ説明しよう。

      俺の名前はピーター・パーカー。

      放射性のクモに噛まれてからの10年間、

      ただ1人のスパイダーマンだ。

      これまでの活躍は知っての通り。

 

ベン:偉大な力には偉大な責任が伴う 

one last time:最後にもう一度  

bit: 噛む  (過去分詞のbittenで「噛まれる」)

radioactive: 放射性の 、放射能を帯びた

one and only: ただ一つの 

you know the rest: 残りは分かっている→(ただ1人のスパイダーマンとして過ごしてきた期間のことは)知っての通り 

with…come〜:…には〜が伴う  

他のスパイダーピープルたちが登場するときにも、自己紹介があります。同じような型の文なので、覚えておくと次に出てきた時に分かりやすいです。 

ベンおじさんの言葉は、スパイダーマンで有名なセリフです。スパイダーマンの能力を身につけたピーターに言うのですが、その時のピーターは説教くさいと聞き流してしまいます。しかし後にスパイダーマンの人生の座右の銘となる言葉です。 

放課後、アーロンおじさんの家での会話 

Aaron:Yo, you’ve been holding out on me.

You throw these up yet? 

 

アーロン
アーロン

最近つれないよな まだ描いてるか?

hold out on〜: 〜に秘密などを明かさない、〜の要求を拒否する  

throw… up: 壁にスプレーでグラフィティアートを落書きする 

throw upは辞書で調べると「吐く」という意味しか出てきません。名詞としてthrow upを使うと、グラフィティアート作品のことです 

地下でピーターとゴブリンが戦っている場面 

マイルスのいる地球上のピーターがUSBのようなものを挿そうとするけれど、うまくできない時のセリフ 

Peter: I always get this wrong. 

ピーター
ピーター

ピーター:いつもうまくいかないんだよな 

USBを挿すときって、1回でできずに裏返してみたり、裏返してもうまくいかずに元に戻すとうまくいったりという経験はあるあるです。難しい単語もなく、日常的に独り言で言ってみたくなるような表現だなと思ったので取り上げてみました。 

マイルズの次元のピーターは、このUSBのような装置をan override key(制御キー)、別次元から来たピーターはgoober(グーバー)と呼んでいます。様々な機器全般のことを意味するgizmo(ギズモ)と呼ばれている場面もあります。 

overrideは「機械の自動制御機能を停止するための装置」という意味です。 

別次元から来たピーターがgooberという場面 

There’s always a bypass key,a virus key, a who-cares key.

I can never remember so I just call it a goober.

Give it.  

 

ピーター
ピーター

バイパスキーとか、ヴァイラスキーとか、知るかそんなキーとか。覚えられないから全部「グーバー」って呼ぶんだ。貸せよ。

who-cares: どうでもいい 

別次元のピーターがグーバーを挿せない時には 

Why is this always difficlt?  と言っています。 

マイルスが家に帰った時のお母さんのセリフ 

Rio: Our family doesn’t run from things, Miles. 

リオ(マイルスの母)
リオ(マイルスの母)

うちの家族は物事から逃げ出さないのよ

マイルス 

マイルスは母に言われたこのセリフを後で思い出して、自分を勇気づけています 。

別次元のピーターをおじさんの部屋に連れて行き質問する場面 

Miles: Are you from another dimension?

Like a parallel universe where things are like this universe but different?

And you’re Spider-Man in that universe?

But somehow traveled to this universe, but you don’t know how? 

マイルス
マイルス

別の次元から来たの?

この宇宙と同じようでちょっと違うパラレル宇宙みたいな?

そっちの宇宙のスパイダーマンってこと?

それでなぜかこの宇宙に来たけど、どうしてか分からないとか? 

dimension: 次元 「3-D」は「three-dimensional」のことです  

parallel universe: 並行宇宙(我々の宇宙に類似しながら時間的にずれて存在する宇宙) 

parallelは足を揃えて滑るスキーのパラレルと一緒。 

somehow: どうにかして 

travel: 旅行する(軽装で) 

マイルスのいる次元のピーターは亡くなったのに、10歳以上年上のピーターが現れて驚いたマイルス。物理の授業で習ったことを思い出し、並行宇宙から来たのではないかと推測します。

加速器によって5つの次元が開いたうちの1つからは、年上のピーターが来ました。 

ピーターが他のスパイダーピープルたちにマイルスを紹介するセリフ 

Peter: This is Miles, and he’s going to save the multiverse. 

 

ピーター
ピーター

マイルス。

多元的宇宙を救ってくれる

multiverse:多元的宇宙 

題名の「Spider-Verse」はここから来ています

マイルスは5人が元の次元に帰るのを助けたいが、ピーターに経験不足だと言われてしまう場面 

Miles: But I’m ready, I promise.  

Peter: Then venom strike me right now, or turn invisible on command so you can get past me. 

Miles: When will I know I’m ready– 

Peter: You won’t.

It’s a leap of faith.

That’s all it is Miles.

A leap of faith

 

マイルス:でも大丈夫 約束する

ピーター:じゃあ今すぐ俺を感電させてみろ。それか自在に透明

      になって追い抜けばいい 

マイルス:いつになったら助けられるの

ピーター:時間じゃない。信じて跳ぶことだ。

      それしかないマイルス。信じて跳べ

then:  それなら 

venom:(ヘビやサソリなどの)毒、毒液  (ここではマイルスが出す電気)

strike: (ヘビが)毒牙を食い込ませる、突き刺す 

Then use your venom to strike me right now.の「use your」と「to」が省略されていると考えると意味をつかみやすいです。 

invisible: 目に見えない 

command: 自在に使う力、使いこなせる力 

past: 通り越して、過ぎて 

leap: 跳び、飛躍 

faith: 信念、信頼 

 電気の通ったクモの糸を当てて相手を感電させる能力と透明になれる能力は、ピーターにはなくマイルスだけのものです。しかし思い通りに使いこなせるわけではなく、みんなを助けるだけの力はないと言われてしまいます。みんなを助けられるだけの能力は、いつ身につくのかを聞いた答えが「a leap of faith」です。スパイダーマンだけでなく、新しいことを始めるのは誰にとっても不安ですが自分を信じて跳ぶ勇気。 これが必要なんですね。

最後に 

別の次元から現れた5人のスパイダーピープル。スパーダー・ノワールとスパイダー・ハムはそれぞれのコミックシリーズがあります。それぞれのキャラクターをもっと知りたい人は探してみては。

繰り返し出てくるフレーズがいくつもあるので、最初に理解しておくと次に出てきた時にすぐ分かるので英語が身についている感覚が得られます。発音もはっきりしていて聞き取りやすく、英語学習に向いていると思います。 

ピーター・パーカーも最初は普通の人。たまたまクモに噛まれたせいでスパイダーマンの能力を身につけます。誰もがスパイダーマンのような能力を持ち合わせるわけではありません。しかし自分を信じてマイルスのように跳ぶことで自分なりのヒーローになれるのです。

パラレルワールドが存在するならば、別の次元に自分とは全くキャラの違う自分がいる可能性があるということになります。パラレルワールドに行ったつもりでキャラ変するのもアリかもしれません。

前向きになれる映画なので元気を出したい時、そんなことは考えずにただストーリーを楽しみたい時にもオススメです。 

最後に予告編をどうぞ

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